□赤葦京治との出会い5 ページ11
▽(赤葦視点)
腕を掴まれ雨避けの屋根の下に引っ張り戻されたことには驚いた。だがそのあと傘を押し返して口悪く俺に怒鳴った彼女にも驚いた。そして今は泥がつくのも気にせずに地面に土下座する彼女に驚いていた。
それに俺もようやく我に返り慌てて土下座を止めさせる。
『すみません折角のご厚意を仇で返してしまいごめんなさい』
「いや、俺も迂闊でしたし…」
『でも流石にあれは申し訳ないですごめんなさいすみません』
そうしてあまりにも必死に謝ってくる彼女に俺もなんとなく申し訳なくなってくる。
そもそも、口は悪くても彼女が俺に向けて言ったことは、彼女の立場からしたら一つの正論だったのかもしれないのだから。
子供同士が敬語で謝りながら頭を下げあっているなんて周りからしたらおかしな光景。
だけどそれだけ、彼女も俺もギリギリ子供らしくないぐらいには常識が身に付いているらしい。
でも、謝り続けても切りがないし俺が更に困るだけだと判断したのか彼女は顔をあげると最後に一回謝った。
それだけで、賢くて他人をよく見てる人間だと分かった。
取り合えずそれに俺が返事をしたところでお互い一旦落ち着く。
……あまりの彼女の取り乱し具合に忘れかけていたが、未だに雨はザアザアと薄暗い天気の中降り続いている。
俺もさっき少しと言えど雨に当たったのでジャージの肩が濡れていた。
『…あ、でも、元々持っていなかった私が悪いので、傘はあなたが使ってください。それに…私はもう、濡れているので』
自嘲気味に笑った彼女。
寒さのせいか、顔を白くして体を小さく震わせていた。そういえば、俺の腕を掴んだ彼女の手も、酷く冷えていた気がする。
……本当にいるんだ、こういうやつ。
頑固で、強がりで、横暴で、実は真面目で賢くて、優しい奴。だから多分、彼女は俺がいくら言っても傘を受け取らない。
俺が彼女に傘を押し付けて走っても、彼女はまた追いかけてくるだろう。
だったら、
「……じゃあ、これは借りにしてください」
『え？』
「いつか俺に、この借りを返してください」
俺は彼女の手を掴むと押し返された傘の持ち手をそっと握らせた。
そんな俺の行動に、彼女は意味が分からないと言う風に目を瞬かせる。けど、すぐに分かったようで。
『……やだ、あなた相当のイケメンですね』
初めて俺に、愛想笑いではない笑顔を見せた。
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未確認歩行物体(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます！！数年もたった今更にまとめての返信になってしまいすみません、全てのコメントは当時にちゃんと読ませて貰ってました…！完結してから随分経ってしまいましたが、新しくコメントくださった方もありがとうございます！ (2021年5月3日 13時) (
レス) id: d428059590 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - もうこの小説作ってくれた作者様に、感謝だわ。 ありがとうございます!(スライディング土下座) (2020年6月6日 18時) (レス) id: 8baac5d0e6 (このIDを非表示/違反報告)
リンネ - なんかひいおばあちゃんずるい。クロと誕生日同じだよ?!ぼくなんか8／20というなんという日にちだよ。あと1日早く生まれたかった＼(^o^)／ (2016年12月17日 17時) (レス) id: ef4590e231 (このIDを非表示/違反報告)
やよい - それから未確認さん、今までありがとうございました！未確認さんへの作品を作ったのでぜひ見てください。http://uranai.nosv.org/u.php/enq/mikakuninn/ (2015年11月2日 18時) (レス) id: e5350613f4 (このIDを非表示/違反報告)
やよい - 実は、未確認さんへのメッセージを書いた作品を作りました。これを見ている読者の方はぜひ、参加していただきたいです！ (2015年11月2日 18時) (レス) id: e5350613f4 (このIDを非表示/違反報告)
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