【ハイキュー】ねえねえ、女の子は顔じゃないらしいよ。

□及川徹との出会い２ ページ43

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「勿論、急だしメル友からで全然…！」


予想外の反応に、あはは、と謝る。なのに彼女はそれに更に顔を歪めた。あれ、なんか思ってたのと違う…？



「や、でも正直、君のことが気になってて…」


そう思いながらもこう言えば流石に頷くでしょ、と思い言葉を紡ぐ。所詮女の子。男は顔じゃないとか言うけど、いざ声をかけられれば断らないんだよ。

それでも。




『…そういう発言、易々としない方がいいですよ』



彼女は俺の予想を大きく裏切ってみせた。
それと同時に、俺の中で大きな革命をもたらした。



『もし私がストーカー気質だったら、まず勘違いして自惚れて、裏切られたら何をするか……ーー分からないでしょう？』



そう言った彼女は首を傾げてニコリと笑った。歪めていた表情を軽く和らげて、寄せていた眉間の皺を解した。
その挑発的な表情に、俺は思わず見惚れてしまったのだ。普通の、女の子に。





「…おい、九条。何をやっている」



そんなとき、バスからウシワカちゃんが降りてきた。そして俺を見て、最初の彼女みたいに顔を歪める。ひどい。



「……九条、なんでお前が及川と話している」

『私に聞きます？ブスがあなた目当てのイケメンにナンパされてるんですよ』

「なんだと？」

『北川第一のキャプテンさん、わざわざワンクッション挟まないで本人とどうぞ。んじゃ失礼しますー』



彼女には全てお見通しだった。

九条と呼ばれたその子はため息をつき、そのまま俺に頭を下げるとバスに乗り込んだ。バスの中でチームメイトに絡まれて、迷惑そうな顔をしている彼女が窓ガラス越しに見えた。

そんな彼女をウシワカちゃんも見ていて、その表情は僅かに緩んでいたように見える。



「(……きっもちわる！！！！！！)」



なんて思っていたら、いつもの仏頂面に戻ってたウシワカちゃん。俺を見て再度を顔を歪めてきた。ひどすぎる。
けど、俺の目をしばらく見てから、威嚇するような低い声で言った。




「……アイツに手を出すなよ」



そんなセリフに、俺はポカンとしてしまう。

……ああそうか。
俺が思っていた以上に、彼女は彼のお気に入りらしい。

ウシワカちゃんは俺を最後まで睨みつけたまま、踵を返してバスに乗り込んでいった。手を出すな、ねぇ…。



「さぁね……けど、」



俺も気に入っちゃったよ。

動き出したバスに背を向けて、一人笑みを作り体育館へ戻る。



「……九条ちゃん、ね」



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