月夜に相するふたつの三日月 ページ26
｢…かぐやや。｣
｢みか…づき…さん？｣
誰も居ないはずの校舎に突然現れた三日月宗近。
いつもなら飛び起きて警戒して間を取るかぐやだが今日に限って抵抗する気力すら残っていなかったかぐやは寝転んだまま目を少し見開いただけだった。
｢おやおや1人で泣きおって、いじらしい目が腫れてしまえばいけない。ほら、涙を拭いてあげよう。｣
状態を抱き起こし三日月の手で頬を包まれいつの間にか流れていた涙を拭われるとそっと抱き寄せられるかぐや。
少し体を強ばらせたが特に抵抗はせずにされるがままにしていた。
｢…こうやって、かぐやが俺に身を任せてくれるのは久しぶりだ。｣
｢…｣
｢先日は驚いたであろう？すまなかった…自分の想いでいっぱいいっぱいだったのだ。こんなに愛おしい者がおるのも、初めてでな…すまなかった。｣
俺もまだ青い所があるな、と笑う三日月に不思議そうに首を傾げるかぐや。
｢何でですか？私が最初なんて…それに謝んなきゃなのは私だし…｣
自分より年齢は間違いなく上で、容姿も恐ろしく整っている彼なら今までに恋人がいただろうと思うかぐやに困ったように微笑み返しまたかぐやの目元をなぞる三日月。
刀の形をしていた頃は自分が人間の真似事をして自信を振るい、挙句の果てには愛しき者ができるとは思いもしなかった分、何も覚えていないかぐやに説明するのは無理な話なのだ。
｢何も思い詰めなくて良い。いつか、いつか俺達のことを思い出してくれれば良いのだ。俺たちの時は悠久だ、その時にまたその愛しき口で、俺の名を呼んでくれ。｣
はっきりと声が聞こえていたのはそこまでで、ぷつんとかぐやの記憶はそこで途切れている。
｢おや、確かに幼子は寝る時間だな。…綺麗な寝顔だな。｣
腕の中ですやすやと眠るかぐやを再びぎゅっと抱き締めて三日月はこんのすけを呼んだ。
｢はいっお呼びでしょうかってそのお姿はかぐや様にございませぬか!!｣
｢静かにせぬか、先ほど眠ったばかりなのだ。かぐやが寝泊まりしている所へ案内してくれ、あと着替えをたのめる別の者を。｣
三日月の頼み通りにやり遂げたこんのすけ、今彼の目の前には寝巻きに着替えたかぐやがベットの中で小さな寝息を立てていた。
｢おやすみ、かぐや。｣
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ミューゼス(プロフ) - 極・吹雪姫さん» 全作品にコメント頂きありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年5月12日 18時) (
レス) id: 8be0659255 (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - みゅーぜす＞ワンコ女子の力作見ましたわ！！表クール（？）で裏ワンコ！！発想、展開、誤字はあっても、長く続けられる強さ。だからこそできた作品でしょう。（ちなみに暗殺教室→カルマ、有希子 黒バス→伊月が好きよ？ (2019年5月7日 21時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2018年8月29日 18時
