13話 ページ13
あの日以来、時間が許す限りトガはAの訓練に付き合った。
初めはボロボロだった。
ナイフの使い方はおろか、戦闘というものが全く出来ないでいた。
しかし、Aは努力をした。甘えてばかりではいけない。その気持ちがAを強くした。
ヒ「ふふふっ」
A「楽しそうだね、トガちゃん。」
ヒ「もちろんです。こうして、Aちゃんと手合わせがしっかり出来るようになって、私は幸せなんです」
トガが笑いながらもナイフをしまう。
その手元を見てAはトガが怪我をしていたことに気づいた。
A「トガちゃん、血が……」
そっと手を取ると、Aは少しだけ歌った。
ヒ「いつ聴いても、Aちゃんの歌は素敵ですね。」
もう、綺麗に治りました、とトガは笑ってみせた。
Aも歌を褒められて嬉しそうに笑う。
連合はAにとって、とても居心地が良かった。
誰も自分の声のことを何も言わない。そして、自分も気にする必要がないことが嬉しかった。
ここの人たちは、それぞれを一人間と認め合い日々を過ごしている。
ナイフをしまっていると、ドアの方から死柄木の声がする。
何かに苛立っているのか、黒霧に文句を言っていた。
A「弔……」
ヒ「帰ってきたみたいですね。弔くん、殺気立ってます。Aちゃん、行ってもらってもいいですか？」
A「うん。行ってくる」
頷くとAは隣の部屋へと足を運んだ。
A「弔、おかえり。」
弔「………イライラする。とてつもなく、イライラする。」
A「………うん。私に何か出来ること、ある？」
Aの問いかけに、来い、と死柄木は言った。
死柄木の前へと移動し、死柄木を見上げる。
そっと、頬に手を添え撫でた。
A「弔の、その気持ちが無くなるなら、なんでもするよ。」
弔「………そばにいろ。それでいい。」
A「うん。ここにいる。」
Aは死柄木に抱きつく。死柄木からは抱きしめられたことはない。それでも、一緒にいろと言ってもらえるだけで、Aは幸せだった。
触れてもらえなくても、触れさせて貰えるだけで、十分だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mikael(プロフ) - あすぅさん» コメントありがとうございます！のんびりペースではありますが続きも頑張って書いていきますので、お待ちいただければと思います！ (2022年1月22日 21時) (
レス) id: 081e609128 (このIDを非表示/違反報告)
あすぅ - 最初から読ませていただきました!面白かったです!続き楽しみにしてます (2022年1月21日 19時) (レス) id: 8561b5144a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mikael | 作成日時：2021年12月7日 1時
