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「優!優一郎!」
女が叫ぶ
おそらく、火事の現場に子供を置いてきてしまった母親だろう
二十五、六歳の女だ
消防隊員が、その母親を止めに入る
「お母さん!落ち着いて!我々に任せてください!」
「離して!優!優があそこにいるの!」
「おい!カメラあっち向けろ!撮れるか‼」
カメラがそちらをズームする
……悪趣味な奴らだ
母親の顔が映る
黒髪の、綺麗な女だ
だが、今は髪を振り乱し、必死の形相をしている
五士のカウントが止まる
美十ちゃんも画面を見る
部屋にいた全員が、画面に釘付けになっていた
消防隊員が叫ぶ
「誰か、手を貸してくれ!すごい力だ……お母さん、落ち着いて!」
「優!優一郎!」
母親は手に何かを持っている
カメラが揺れて、それが何かはわからない
「お母さん、落ち着い……」
だが、母親が拳を振るった
消防隊員の顔面を殴る
意外にもバイオレンスな女性だ
「がっ、何をするんだ!」
消防隊員が、母親の腕を掴む
その手に、何かが見える
「……ライターか?」
思わず呟いた
そこで、
「火を消しちゃだめ!悪魔なの!あの子は悪魔なのよ!殺さなきゃ!今日ここで殺さなきゃあぁあああああああああああああああああああああ!」
女が絶叫するように叫んだ
母親が左手をあげる
左手にはペットボトルが握られている
その口から液体が、母親に向かってかかる
「この女、ガソリン持ってるぞ!」
消防隊員が叫ぶ
ライターの発火石がこすられる
だが火はつかない
消防隊員の一人が、母親の顔面を殴り倒す
何人かの消防隊員が彼女を押さえつける
それでもなお、女は叫び続ける
「悪魔ぁあああああ!殺さなきゃ!殺さないとおおおおおお!」
そこで、パーカー姿の男がテレビカメラに近づいてくる
男の顔が一瞬だけ映る
知らない顔だった
その顔を見た瞬間、なぜか心が騒ついた
テレビの映像が、真っ暗になる
それからすぐにスタジオに戻る
女性キャスターが、慌てて話し始める
……この世界も、こんなものか
私はテレビから、視線を外した
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ゆうな(プロフ) - セラフ作品 , 全部読ませていただきました ! どれもお気に入りです 。更新楽しみにしています ! 頑張ってください ! (2018年10月12日 0時) (
レス) id: dbe1d7a27d (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです！更新頑張ります。 (2017年12月27日 19時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年12月16日 0時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年7月5日 20時
