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18話 ページ20

私の言葉に、ベリアルはこちらを非難するように言う

「おいおい、今回の騒動はオレの所為だって言うのかよ」

「違うの?」

彼の目を真っ直ぐに見据え、聞き返す
それに彼は呆れたように言った

「当たり前だろ。オレがそれをする理由がない」

しらを切るつもりらしい
嘘を吐くならもう少しバレないようにしてほしい

目は口ほどに物を言う

「どうせ君のことだ。ルシファーが絡んでいるんだろ?」

「確かにファーさんの命令ならオレは何でもやるが、今回の件に関しては何も言われていない。信じてくれ」

「信じられない」

「即答かよ、酷いな」

彼は自嘲的に笑う

同情を誘うつもりだろうか
残念ながら、その手には乗ってあげられない

私は言う

「君の日頃の行いの所為じゃないか?」

「本当に酷いな。良い関係を築けていたと思ってたのはオレだけか?」

「表面上だけ、でしょう」

私はそう言って、にっこりと微笑む
それに、彼の笑みが固まった

私は続ける

「君はいつも嘘ばっかりだ。私に、一度でも本心を話したことはあったのか?」

「……何を言って」

「私が気づいていないとでも思った?残念。私は君が思っているより、随分と賢いんだよ?何せ『知』を司る天司だからね」

「………」

「何か反論は?」

返事の代わりに、彼の口角が上がる
それから耐えきれなかったかのように、笑い声が漏れる

「くっ……ふふ、ふは、あははははは!」

見たことのない表情だ
これが彼の本性なのだろうか

私が彼の姿を見つめていると、彼は楽しそうに言った

「アンタ最高だな!!」

彼は顔を片手で覆いながら、嗤う
それを見て、私も笑った

「全く嬉しくないな」

「良いねぇ、その瞳。オレのマゾヒズムが擽られる」

彼はそう言って、興奮したように頰を赤らめる
私はそんな彼に向けて、懐にしまっていた短剣を投げる

だが、その短剣はあっさりと避けられ、壁に突き刺さる

「いきなり酷いじゃないか、A」

「それは失礼。だが、お互い様だろ?君も私に薬を仕込んだ」

紅茶に薬を仕込まれた

そろそろ薬が回り始める頃だ
時期に意識もなくなる

「……君、わかってて飲んだのか」

彼の表情には困惑が浮かんでいた

私の行動の意図が理解できなかったらしい
せっかく、心理構造の本を貸してあげたのに

彼は呟く

「なんで」

彼の瞳が、揺らぐ

そんな彼に向けて、微笑む

「なんでだろうねぇ」

そして私は瞳を閉じる
最後に見えたのは、今にも泣き出しそうな彼の姿だった

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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月14日 13時

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