8話 ページ10
颯爽と研究に戻るルシファー
最初よりは機嫌が良くなったようだ
今なら話しかけても問題ないだろう
そう思いながらも、私は彼に声をかけた
「ところでルシファー」
「なんだ、もう話は終わっただろう。出て行け」
相変わらず手厳しい
だが、気にせずに聞いた
「君、何徹目だ？」
「……四、五……六？」
案外彼は素直に答えた
元気なときはうるさいと一蹴されるのだが
よほど疲れていると見えて問題ないだろう
日数されも把握していないとは
彼の研究への執着心には脱帽する
普通の人間なら今頃ぶっ倒れているだろう
嫌な予感がしながらも、私は続けて聞く
「昼食は？」
「食べた」
「それって、これじゃないよね？」
そう言って私は机の上に置かれていた、容器のようなものを摘み上げる
飲むゼリー、というやつだ
一瞬で栄養を補給できるという優れもの
だがこれは食べ物というよりは飲み物だ
腹は膨れないし、栄養も足りない
これは栄養を補助するためのもので、これを主食にしては意味がないのだ
ルシファーがこちらへと振り向く
否定の言葉を期待したが、それはあっさり打ち砕かれた
「ああ、それだ」
彼は当然のように頷く
私はそれに額を抑え、深く溜息を吐いた
これだけだと体に悪いだろう
ただでさえ無茶してるのだから、栄養ぐらいきちんと取って欲しい
床や机に捨てられている空の容器を摘み、ゴミ箱へと放り投げる
彼はまた、研究へと戻っている
それに私は溜息を吐き、ダメ元で言ってみる
「そろそろ寝なよ。このままだと過労死するんじゃないか？」
話している最中も気になっていたことだ
元から白い肌が、白を通り越して青ざめている
目にはどす黒い隈が浮かんでいた
そろそろ休息を取らないと、本当に倒れてしまう
ルシファーが言う
「うるさい。俺はそう簡単に死なん」
「君は人間だから、簡単に死ぬだろう」
思ったより口調が弱くなる
それに気づいたルシファーが、動きを止める
私はそんな彼を見て、慌てて取り繕う
「それに実験の進捗も良くなさそうだ。一度寝た方が効率もいいんじゃないかな？」
ルシファーが私を見る
いつもの、感情の読めない瞳
私は気まずさに、へらりと下手くそに笑った
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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (
レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月14日 13時
