愛をあげる【第五人格】 (ページ7)

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「今日は楽しかった！ありがとう、ビクターくん」
「ん…！」

手で丸を作り、お馴染みのポーズをしてくれるビクターくんに頬が緩む。うーん可愛い。ニコニコして楽しそうにしている姿はまるで飼い主に懐く愛犬の様で、思わず頭を撫でてしまいそう。我慢我慢。

「そろそろ戻ろうか。夕食の時間だし」

そう椅子から立ち上がり、部屋に戻ろうと扉に向かおうとすると、ビクターくんは動こうとせず何か言いたげにしていた。

「ん…？どうしたビクターくん？」
「……あ、…ぅ」
「いいよ、何でも言ってみなさ〜い！」

出来るだけビクターくんが言いやすいように明るく言ってみる。もしかしたら逆効果かもしれないけれど。仲良くなれたかと思ったけど、まだ少し怖がられてる？

「…ま、また、ここで、一緒に…お喋り、したいです…」

途切れ途切れになりながらも、静かな中庭では十分聞こえる声の大きさで、…お誘いを頂いてしまった。

「かわい……………」
「んぇ…！？」

頭を抱えその場で倒れ込む私を、必死に心配するその姿もまた可愛かった。ありがとう、世界。ありがとう、ビクター•グランツ。紅茶やらお菓子やら用意しなくたって、ビクターくんの言動でお腹いっぱいになってしまった。