起床 ページ39
陣まで戻ると既に何人かは目を覚ましていて、今日の出陣の準備をしていた。
「おはよう、A」
「あ、おはようございます、ねね先輩」
後ろから声をかけられて振り返ると、ねね先輩がにこりと笑う。
「朝から元気ね。どこまで行っていたの?」
「山頂です。気分転換がしたくて」
だいぶ気持ちが軽くなったし、行って良かったと思う。
「顔がずいぶん良くなったわ。その判断は正しかったみたいね。鉢屋くんたちを起こしてきてくれる? そろそろ出発する準備をしないと」
私はこくりと頷くと、皆のところへ戻る。
「おはよう、A」
「八左ヱ門、三郎、おはよう。勘ちゃんは……まだ寝てるのね」
どこまで行ってもいつも通りな勘右衛門に苦笑しつつ、私は声をかける。
「勘右衛門、朝だよー。置いてくよー」
「……起きる」
むくっと起き上がった勘右衛門に、三郎と八左ヱ門が信じられないと言わんばかりに戦慄く。
「お前、俺たちが何回起こしても起きなかったじゃねーか!」
「だって、Aは置いてくって言ったら本当に置いて行くから」
それは困る、と言う勘右衛門に、何故か八左ヱ門が青い顔をする。
「お前……マジか?」
確認するように三郎がこちらを見る。
「当然。だって、そうしないと勘右衛門起きないし」
兵助だろうと置いて行くよ、と言うと、八左ヱ門と三郎は私たちから距離を取って二人で抱き合う。
「い組怖い」
「俺、ろ組で良かった……」
失礼な。
ムッとして私は二人を睨む。
「はいはい二人ともふざけない。Aも落ち着いて。朝ご飯にしよう?」
いつの間にかお目覚めぱっちりな勘右衛門が、そう言って懐から兵糧丸を取り出し食べ始める。
そうだな、と私も食べると、安心したように二人が息を吐いた。
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冴川冬香(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます!この話本当に上げていいのかな?って五時間くらい考えて、やっぱり上げました。驚かせてしまってすみません(笑)めちゃくちゃ遠回りすることになるとは思いますが、いつかは幸せになるはずなので、お付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年11月9日 21時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - この展開は決まっていたことなんでしょうが、ど、動揺が…(・・;)続き無理ない範囲で良いのでお待ちしています! (2020年11月9日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» テスト勉強はしようね……? とか言いつつ私も小テスト勉強一切せずに更新するんだけど。これからもご期待に添えるよう頑張ります。よろしくね。 (2020年11月9日 18時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
凛@昆布教(プロフ) - 冴川冬香さん» 期待通りって(笑)んー、まあまあ時間あるときに更新してくれれば。睡眠は学校の授業中とか塾とかでしてるから問題はないかなー(テスト1週間前)(夜以外も寝てる)ふへへいつまでも待つぜ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 0b140bf78a (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» 壊れてないよー(笑)ものすごく期待通りの反応をありがとう。そしてごめんね。爆弾投下しといてなんなんだけど、今日更新できるかわかんないんですよねー。まぁ、適度な睡眠を取りながら待っていてくれると嬉しいです。 (2020年11月9日 5時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冴川冬香 | 作成日時:2020年9月2日 20時