到着 ページ34
「お待たせ致しました。ねね、Aとその学友三名、ただ今到着しました」
陣に着くと、ねね先輩は迷いなく中心へ向かう。
陣、といってもナルト城の見張りに見つからないよう、旗も幕もない、非常に簡素なものだ。
一体どこまで進むのか、と思っていると、先輩はある人物の前で立ち止まった。
ねね先輩が片膝をつけて頭を垂れたのを見て、私たちも後に続く。
「うむ。ご苦労であった」
そう言うのは、本来ならこんなところにおらず、城でデンッと構えているはずの。
「殿?」
チャミダレアミタケ城城主、茶乱網武であった。
殿の前から退出すると、何故ここに殿がいるのか聞く間も無く、声をかけられる。
「ねねくん、Aくん」
その声に振り返ると、そこにはダンディーなおじさまがいた。
「えっと、文左衛門さん?」
私が首を傾げながらそう言うと、文左衛門はパッと顔を輝かせた。
「良かったよ、覚えていてくれたんだね。しがない小頭の私のことなんて、もう昔の人とされているものだとばかり思っていたよ」
彼の言葉に私はそっと顔を逸らす。
後ろから小さな声でねね先輩に教えてもらったなんて、とても言えない。
というか文左衛門、小頭だったのか。
「竹谷くん、尾浜くん、鉢屋くん。今回は我々と共に戦うと決めてくれてありがとう。一度刀を交わしたからこそ、君たちの参戦を心強く思うよ」
文左衛門は笑顔でそう言って、どこかへ歩いて行った。
それに対して三人は、何故か私を守るように立ち位置を変える。
「……あの、三人共、どしたの?」
別に文左衛門は危ない人ではないと思うのだが。
「Aは黙ってて」
「あの人、なんか胡散臭い」
「何かされたら困るでしょ」
三人揃ってそう言うなんて、文左衛門が聞いたら多分泣く。
ちょっとねね先輩、笑ってないでなんとかしてください。
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冴川冬香(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます!この話本当に上げていいのかな?って五時間くらい考えて、やっぱり上げました。驚かせてしまってすみません(笑)めちゃくちゃ遠回りすることになるとは思いますが、いつかは幸せになるはずなので、お付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年11月9日 21時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - この展開は決まっていたことなんでしょうが、ど、動揺が…(・・;)続き無理ない範囲で良いのでお待ちしています! (2020年11月9日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» テスト勉強はしようね……? とか言いつつ私も小テスト勉強一切せずに更新するんだけど。これからもご期待に添えるよう頑張ります。よろしくね。 (2020年11月9日 18時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
凛@昆布教(プロフ) - 冴川冬香さん» 期待通りって(笑)んー、まあまあ時間あるときに更新してくれれば。睡眠は学校の授業中とか塾とかでしてるから問題はないかなー(テスト1週間前)(夜以外も寝てる)ふへへいつまでも待つぜ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 0b140bf78a (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» 壊れてないよー(笑)ものすごく期待通りの反応をありがとう。そしてごめんね。爆弾投下しといてなんなんだけど、今日更新できるかわかんないんですよねー。まぁ、適度な睡眠を取りながら待っていてくれると嬉しいです。 (2020年11月9日 5時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冴川冬香 | 作成日時:2020年9月2日 20時