笑顔 ページ33
「さぁ、いよいよ着くわよ。もう少しだから、頑張って！」
ねね先輩からのエールを受けて、私たちはまた歩きだす。
草がおおい茂っていて、少し歩きにくい。
木の枝や、大きな岩などをつたいながら、ゆっくりと降りていく。
「うわっ」
私の一歩後ろを歩いていた勘右衛門が、草に足を取られて滑る。
「大丈夫ですか？ お手をどうぞ、お兄さん」
先程の仕返し、とばかりに私は下から手を差し出す。
ついでに、自分が一番綺麗に見える笑顔を見せた。
「これはこれは、どうもありがとうございます」
ニヤッと笑って勘右衛門が私の手を取る。
ねね先輩と三郎が、堪えきれなくなったように笑った。
「ねぇ、八左ヱ門。Aって、あんな綺麗に笑う人だっけ？」
「よそ行きの顔なんだよ」
「なるほど。あー、びっくりした」
「流れ弾を食らった俺もびっくりしたよ」
何やら後ろで勘右衛門と八左ヱ門がコソコソ言っているが、左右コンビのいつものおふざけだろうと放っておく。
「ねぇ、三郎」
私は少し歩く速度を速めて、先を行く三郎に声をかける。
私に気づくと、三郎はすぐに歩幅を合わせてくれた。
こいつ、なかなかに将来有望な男なのかもしれない。
「どうした、A」
「雷蔵の方に、ついて行かなくて良かったの？」
実は学園を出る前からずっと気になっていたことを訊ねる。
不破雷蔵あるところ、鉢屋三郎ありもの。とか言っているくせに、一緒でなくて良かったのかと。
返事はわかりきっている。
鉢屋三郎という男が、友だちを放っておけるような卑劣な奴でないことくらい、知っている。
でも、聞いてみたくなったのだ。
三郎の口から、正解が聞きたくなった。
「……そんなの、決まってるだろ？」
いつもの不敵な笑みを見せ、三郎は言う。
「ん。知ってた」
だから、私も真似して不敵に笑う。
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冴川冬香(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます！この話本当に上げていいのかな？って五時間くらい考えて、やっぱり上げました。驚かせてしまってすみません（笑）めちゃくちゃ遠回りすることになるとは思いますが、いつかは幸せになるはずなので、お付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - この展開は決まっていたことなんでしょうが、ど、動揺が…(・・;)続き無理ない範囲で良いのでお待ちしています！ (2020年11月9日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» テスト勉強はしようね……？ とか言いつつ私も小テスト勉強一切せずに更新するんだけど。これからもご期待に添えるよう頑張ります。よろしくね。 (2020年11月9日 18時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
凛@昆布教(プロフ) - 冴川冬香さん» 期待通りって（笑）んー、まあまあ時間あるときに更新してくれれば。睡眠は学校の授業中とか塾とかでしてるから問題はないかなー（テスト1週間前）（夜以外も寝てる）ふへへいつまでも待つぜ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 0b140bf78a (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» 壊れてないよー（笑）ものすごく期待通りの反応をありがとう。そしてごめんね。爆弾投下しといてなんなんだけど、今日更新できるかわかんないんですよねー。まぁ、適度な睡眠を取りながら待っていてくれると嬉しいです。 (2020年11月9日 5時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冴川冬香 | 作成日時：2020年9月2日 20時
