山頂 ページ31
「ねね先輩。山の麓はもうナルト領ですよね。どこで合流するんですか?」
楽しそうに戯れている男子三人は放っておいて、私は先輩のところまで駆け上がる。
「あぁ、A。言ってなかったかしら。山の向こう側の、中腹あたりで陣を作っているはずよ」
「なら、本当にすぐ着きそうなんですね」
私がそう言うと、そう言ったじゃない、と笑われる。
仕方がないのだ。
チャミダレアミタケ領は学園の北にある上、南北に長い。
更にその北の、若狭の海のあたりにナルト領があるのだから、てっきり二、三日はかかると思っていた。
「まぁ、普通はそれくらいかかるわよ?」
「あ、ですよねーって、え?」
何てことない、という風に言ってのけるねね先輩に、私は思わず聞き返す。
「貴女たちならいけると思ったから。問題なかったでしょう?」
「なかったですけど。……やっぱ、普通じゃなかったんだ」
思っていた以上に強行軍だったらしい。
まぁ今までの道を思い返すと、街道はほとんど通っておらず、道なき道、それこそ獣道ですらないようなところを突き進んで来たのだから、薄々そうではないかと思っていたが。
多分地図上では、曲がることのない真っ直ぐな一本の線が引けるのだろう。
「さぁ、もう山頂よ!」
先輩の声に顔を上げる。
「……わぁっ」
思わず声が漏れた。
眼下に広がるのは広大な田畑。
秋の収穫まであと一月程あるからか、まだ青さが目立つ。
風に吹かれて揺れる青の中にぽつり、ぽつりと点在する、茅葺きの屋根。
遠くにあるのに、日の光を浴びて輝いていることがわかる、眩しい海。
東の山を背に立つ、白い壁に青い瓦の屋根。
のどかで、豊かそうな領地。
「……これが、ナルト領」
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冴川冬香(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます!この話本当に上げていいのかな?って五時間くらい考えて、やっぱり上げました。驚かせてしまってすみません(笑)めちゃくちゃ遠回りすることになるとは思いますが、いつかは幸せになるはずなので、お付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年11月9日 21時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - この展開は決まっていたことなんでしょうが、ど、動揺が…(・・;)続き無理ない範囲で良いのでお待ちしています! (2020年11月9日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» テスト勉強はしようね……? とか言いつつ私も小テスト勉強一切せずに更新するんだけど。これからもご期待に添えるよう頑張ります。よろしくね。 (2020年11月9日 18時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
凛@昆布教(プロフ) - 冴川冬香さん» 期待通りって(笑)んー、まあまあ時間あるときに更新してくれれば。睡眠は学校の授業中とか塾とかでしてるから問題はないかなー(テスト1週間前)(夜以外も寝てる)ふへへいつまでも待つぜ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 0b140bf78a (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» 壊れてないよー(笑)ものすごく期待通りの反応をありがとう。そしてごめんね。爆弾投下しといてなんなんだけど、今日更新できるかわかんないんですよねー。まぁ、適度な睡眠を取りながら待っていてくれると嬉しいです。 (2020年11月9日 5時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冴川冬香 | 作成日時:2020年9月2日 20時