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巳の刻下がり。
私たち五年生四人とねね先輩は、門の前に集合していた。

「四人共、本当にありがとう。……でも、特に三人は、後悔しない?」

ねね先輩にそう聞かれ、八左ヱ門たちは深く頷く。

「ナルト城にはウチの豆腐小僧が世話になっちゃったんで」
「借りは返さないと、ですよね」
「Aのこともありますしね」

気合十分、といった風の三人を見て、ねね先輩は引きつったような笑みを浮かべる。

「よくわかんないけどわかったわ。それじゃあ、出発しましょう」

ねね先輩が出門票にサインをして、門を出る。
私たちの外出許可は選抜チームと共に出発した学園長先生が既に小松田さんに出していたようで、いらないと言われた。

八左ヱ門、勘右衛門、三郎の順に外に出て、最後の私も門を潜ろうとした時。

「五十嵐」

潮江先輩だった。

「これを貸してやる。絶対にお前自身の手で俺のところまで返しに来い。いいな」

そう言って渡してきたのは、潮江先輩愛用の袋槍。
死ぬな、ではなく、返しに来い、と言うあたりが何とも潮江先輩らしい。

「はい。一時的に、お借りさせていただきます」

一時的に、を強調し、ちゃんと返すと暗に示す。

「五年い組、会計委員、五十嵐A!」
「はい!」

潮江先輩の呼びかけに、私は力強く返事をする。

決して「元です」とかは突っ込まない。突っ込んではいけない。

「会議と書いて!」

予算会議前のいつもの掛け声。
私は背筋を伸ばし、凛として声を上げる。

「合戦と読む!」

五年間一緒に仕事をしてきた仲だ。
これ以上の言葉はいらない。

私は一度深く礼をすると、袋槍をしっかりと握り締め、学園を出た。

「会計委員たる者、強くあれ」

潮江先輩の小さな声にちょっと微笑(わら)って、私は先を行く皆の背中を追いかけていった。

水筒→←嵐の



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設定タグ:忍たま , 山田家 , 久々知兵助   
作品ジャンル:ラブコメ
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冴川冬香(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます!この話本当に上げていいのかな?って五時間くらい考えて、やっぱり上げました。驚かせてしまってすみません(笑)めちゃくちゃ遠回りすることになるとは思いますが、いつかは幸せになるはずなので、お付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年11月9日 21時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - この展開は決まっていたことなんでしょうが、ど、動揺が…(・・;)続き無理ない範囲で良いのでお待ちしています! (2020年11月9日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» テスト勉強はしようね……? とか言いつつ私も小テスト勉強一切せずに更新するんだけど。これからもご期待に添えるよう頑張ります。よろしくね。 (2020年11月9日 18時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
凛@昆布教(プロフ) - 冴川冬香さん» 期待通りって(笑)んー、まあまあ時間あるときに更新してくれれば。睡眠は学校の授業中とか塾とかでしてるから問題はないかなー(テスト1週間前)(夜以外も寝てる)ふへへいつまでも待つぜ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 0b140bf78a (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» 壊れてないよー(笑)ものすごく期待通りの反応をありがとう。そしてごめんね。爆弾投下しといてなんなんだけど、今日更新できるかわかんないんですよねー。まぁ、適度な睡眠を取りながら待っていてくれると嬉しいです。 (2020年11月9日 5時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冴川冬香 | 作成日時:2020年9月2日 20時

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