惨状 ページ18
「お待たせ。状態はどう？」
こうした方が早い、と潮江先輩にお俵様抱っこで運ばれた私は、医務室の中に駆け込んだ。
苦しげに肩で息をしている兵助に一瞬思考が止まりかけたものの、すぐにそうしている場合ではないと思い直す。
「あ、A先輩！」
「良かったですぅ！」
矢で負傷した以外の箇所を治療していたらしい乱太郎たちが、私の顔を見てホッとしたように息を吐いた。
「遅くなってごめんなさい。今どんな感じ？」
「矢が刺さっているところは触っていません。毒の種類も、治療の仕方もわからなかったので」
「それ以外は殆どが擦り傷だったので、変な臭いがしておらず、状態異常が起こっていないところは全て治療しました」
左近と数馬から報告を受け、私は安心させるように頷く。
「皆お疲れ様。私が来るまでよく持ち堪えさせたね。じゃあ、矢の摘出をするから、乱太郎たちは準備だけ手伝ってくれる？」
私がそう聞くと、声を揃えてしっかりと返事する。
まず最初にすべきは、毒の特定だ。匂いと患部の症状からなんとなくそれに見当をつけつつ、私は兵助の肩に顔を近づける。
味からしても、あの薬で間違いないだろう。
ナルト城もまた、厄介なことを──と苦々しげに呟き、私は顔を離す。
「乱太郎はお湯を沸かす準備を、伏木蔵は体を拭くための水、手拭い、あと別で飲み水をお願い。左近は今から言うものを薬棚から出してちょうだい。どこに何があるのか、もう完璧だったよね？」
はいっと力強く返事した彼らは、それぞれ私の指示通りに動き始める。
「数馬は悪いけれど、私の助手として矢の摘出を手伝ってくれる？ ちょっと刺激が強いから、本当は来年教えるつもりだったんだけど……」
ごめんね、と眉を下げると、そんなことないです、と数馬は首を振る。
「また今回みたいなことがあった時に対応できるようにしたいですし、先輩の役に立ちたいですから」
「ありがとう」
そっと数馬の頭を撫で、私はフッと微笑んだ。
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冴川冬香(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます！この話本当に上げていいのかな？って五時間くらい考えて、やっぱり上げました。驚かせてしまってすみません（笑）めちゃくちゃ遠回りすることになるとは思いますが、いつかは幸せになるはずなので、お付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - この展開は決まっていたことなんでしょうが、ど、動揺が…(・・;)続き無理ない範囲で良いのでお待ちしています！ (2020年11月9日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» テスト勉強はしようね……？ とか言いつつ私も小テスト勉強一切せずに更新するんだけど。これからもご期待に添えるよう頑張ります。よろしくね。 (2020年11月9日 18時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
凛@昆布教(プロフ) - 冴川冬香さん» 期待通りって（笑）んー、まあまあ時間あるときに更新してくれれば。睡眠は学校の授業中とか塾とかでしてるから問題はないかなー（テスト1週間前）（夜以外も寝てる）ふへへいつまでも待つぜ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 0b140bf78a (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 凛@昆布教さん» 壊れてないよー（笑）ものすごく期待通りの反応をありがとう。そしてごめんね。爆弾投下しといてなんなんだけど、今日更新できるかわかんないんですよねー。まぁ、適度な睡眠を取りながら待っていてくれると嬉しいです。 (2020年11月9日 5時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冴川冬香 | 作成日時：2020年9月2日 20時
