伊作の部屋 ページ6
「あの、伊作先輩。足のことって何ですか？」
心なしかゆっくりと歩く伊作先輩に私は聞いた。
「昨日、乱太郎が穴に落ちかけたんだ」
「乱太郎って……一年の保健委員の、眼鏡の子ですよね。あの子、怪我したんですか？」
私が訊くと、先輩はゆるゆると首を振る。
「いや。トイレットペーパーを三つも持っていたのに、どこも怪我しなかったんだ」
「それは良かったですね」
嬉しそうな話す先輩に、私はにこりと笑う。
「それで、乱太郎が言うには、穴の底に落ちる直前に、五年生が助けてくれたらしいんだ」
「ヘ、ヘェ。ソウナンデスカー」
冷や汗がたらりと流れる。
「その五年生はよっぽど急いでいたらしくって、名前も告げずに行ってしまったとか……」
「……」
「ねぇ、それ、Aだよね」
伊作先輩の言葉にピシリ、と固まった後、私は綺麗な作り笑いをする。
「何のことでしょう」
「その五年生、着地に失敗したらしくって、右足をかばいながら歩いて行ったそうなんだけど。さっき歩いてて、そういう歩き方してるのAだけだったよ」
うっと言葉に詰まる。
「これは、たまたま昨日、ちょっと捻っただけです。その五年生は私じゃ」
「じゃあなんでその時に医務室に来ないの！」
「それは……すみません」
私が謝ると、先輩は溜息を吐いてご自分の部屋の戸を開けた。
「さぁ、入って」
「失礼します」
中に入った伊作先輩が薬などを出しているの横にちょこんと座る。
患部を見せて、と言われて右足だけ裸足になる。
「応急処置はしているんだね。あー、でも赤くなってる。無理して歩いたでしょ。走れなくなるよ」
可愛らしく小言を言いながら、先輩が治療をしてくれる。
「あの、医務室じゃなくて良かったんですか？」
「ここにも薬はあるからね。今日の昼の当番は乱太郎だから。Aが怪我してるの見たら、気に病むと思って」
Aもそう思ったから、昨日医務室に行かなかったんでしょ、と伊作先輩が微笑んだ。
全てお見通しってわけか……。
「本当、伊作先輩には敵わないです」
はい、できた、と先輩は包帯を片付け始めた。
「それで、A。足の怪我を診たかったのもあるんだけど、この部屋に来てもらったのには他にも理由があるんだ」
「……何ですか？」
「明後日の課題について。単刀直入に聞くけど……A、女の子だよね」
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スイちゃんですよ〜☆ - 今作も良かったです！(^^ω)次の続編に向けて出港。！ (2023年1月23日 0時) (
レス) @page39 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
ユリリン(プロフ) - 今回の話も面白かったです。今後も健康に気をつけて更新がんばってください。引き続き楽しみに待っています。 (2020年5月10日 20時) (レス) id: 4f0d699f1e (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - ユリリンさん» いつもありがとうございます。この先の展開は一応決まっているので、できるだけ早く更新できるようにしますね。ご期待に応えられるよう、頑張ります。 (2020年5月9日 11時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
ユリリン(プロフ) - このあとの夢主が心配です。皆が暖かく迎える事を信じます。更新楽しみにしています。引き続き健康に気をつけて更新がんばってください。 (2020年5月9日 10時) (レス) id: 4f0d699f1e (このIDを非表示/違反報告)
唯(プロフ) - 冴川冬香さん» ありがとうございます！こちらもリクエスト受け付けていますのでこれからもよろしくお願いします！ (2020年5月5日 3時) (レス) id: 238aca14d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冴川冬香 | 作成日時：2020年4月30日 10時
