モ、モーニングスター？ (2022.3.6改稿) ページ23
潜入調査から数日経ったある日の放課後。
学園長先生に呼ばれ、私は庵へ向かった。
「モーニングスターですか？」
「そうじゃ。鎖分銅の、親戚みたいなもんらしい」
学園先生が南蛮の武器商人から買ったというモーニングスターを見せてくれる。
「へぇー、こうなって……ここを持って使うのかな？ ちょっと縄鏢にも似てるかも」
くるくると回して眺める私に、好々爺の顔で学園長先生が語りかける。
「Aのお母上がこれの使い手と呼ばれとったのだ。使ってみんか？」
「え、いいんですか？」
私は思わず聞き返した。
いいのだろうか。
学園長先生の自費で買ったものらしいけれど。
「遠距離攻撃が可能な武器を探しておるんじゃろう？ 試してみるといい」
山田先生には内緒だぞ、と笑う学園長先生に、私もにかっと笑顔をみせる。
「はい。ありがとうございます！」
ぺこりとお辞儀をして学園長先生の庵から出た私は、誰もいない自室に戻った。
兵助は豆腐委員会の、勘右衛門は学級委員長委員会の会議があるらしい。
六年生が実習に行っていていないため、会計委員会は珍しく休みである。
私は懐からモーニングスターを出して、じゃらじゃらと眺め始める。
長い鎖の先に鉄球が付いているそれは、一見するとけん玉のようだ。
重い鉄球には棘が付いていて、安易に振り回すのは危険だと思われる。
……学園で練習するのは、やめた方がいいかも。
慣れないうちは裏々山あたりまで行くべきだろう。下級生に怪我をさせたくないし、練習風景を人に見られたくない。
……そういえばさっき学園長先生が、母様が得意だって言ってたっけ。
使い方のコツを教えてもらえたらいいな、と私は軽い気持ちで母様に手紙を送った。
その次の休み。
「……何、これ」
馬借便です、と後輩である団蔵が私の部屋までやってきたのが半刻前。
そして今目の前には、その団蔵が入れそうなくらい大きな葛籠がある。
失礼します、と出ていく団蔵と清八さんを私は呆然と見送って、再び葛籠に目を向けた。
差出人は母様。
おそらくこの前のモーニングスターの質問状への返事なのだろうが。
……何が入ってるかわかんなくて、怖いんだけど。
恐る恐る私は蓋を開ける。
その途端に何かが飛び出してくる、なんてことはなく、中には手紙と服と、狐のお面と、少し古くなったモーニングスターが二つ入っていた。
母様からの手紙 (2022.3.6改稿)→←閑話 怒らせてはいけない人 後編
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スイちゃんですよ〜☆ - 今作も良かったです！(^^ω)次の続編に向けて出港。！ (2023年1月23日 0時) (
レス) @page39 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
ユリリン(プロフ) - 今回の話も面白かったです。今後も健康に気をつけて更新がんばってください。引き続き楽しみに待っています。 (2020年5月10日 20時) (レス) id: 4f0d699f1e (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - ユリリンさん» いつもありがとうございます。この先の展開は一応決まっているので、できるだけ早く更新できるようにしますね。ご期待に応えられるよう、頑張ります。 (2020年5月9日 11時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
ユリリン(プロフ) - このあとの夢主が心配です。皆が暖かく迎える事を信じます。更新楽しみにしています。引き続き健康に気をつけて更新がんばってください。 (2020年5月9日 10時) (レス) id: 4f0d699f1e (このIDを非表示/違反報告)
唯(プロフ) - 冴川冬香さん» ありがとうございます！こちらもリクエスト受け付けていますのでこれからもよろしくお願いします！ (2020年5月5日 3時) (レス) id: 238aca14d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冴川冬香 | 作成日時：2020年4月30日 10時
