ちょっと待ってくれ ページ33
それでも少しドキドキしながら私が待っていると、しばらく下を向いていた勘右衛門がじっと私の顔を見る。
「確かに、なんとなく目元のあたりとか利吉さんに似てるな」
「笑い方は土井先生と同じじゃない？」
「山田先生とは……目を細めて見たら、似てる、かな？」
「そういえば、山田先生と土井先生と変な矢羽音で話してたよな」
……おい後ろ二人、なんか色々失礼だぞ。
そうは思いつつも、場を明るくしようとしてくれているのがわかるから、それには触れずに口を開く。
「怒ってないの？」
「隠してたのはちょっと不満だけど……なぁ？」
「怒るようなことじゃないでしょ」
「流石にこれ以上、隠し事はない、よね？」
「……たぶん？」
雷蔵に聞かれて首を傾げる私に、皆が一斉にずっこける。
誤魔化そうとえへっと笑った私に、兵助が呆れたように溜息を吐いた。
「そういえば、兵助は驚かないんだね」
ふと思い至ったように雷蔵が私と、後ろに立つ兵助を見て言った。
「確かにそうだな」
三郎が訝しげにこちらを見る。
「前にAから聞いたからな」
「「……はい？」」
なんてことない、という風に兵助がサラッと言う。
まぁその言葉に彼らが変な顔をするのは至極当然のことで。
「あ、えっと、兵助に女ってバレた時にちょっと色々あって、その流れで」
少し言葉足らずな兵助の台詞につけ足すように私が言うと、一旦は納得してくれたのだが。
「ん？ ちょっと待て、俺らには何も言わなかったのに兵助には言ったのか！？」
「え、何それずるいー」
八左ヱ門が引っかかり、勘右衛門がそれに乗る。
……八左ヱもんんんん！？
勘弁してほしい、特に今は。
……ってか勘右衛門、お前楽しんでないか？
「言われてみれば二人、今年に入ってから距離感近いよな」
「怪しい怪しい〜」
三郎もそう言ってニヤッと笑う。
……勘右衛門、お前もう女子だよな？ ここまでくると女子だよな！？
救いの手を求めて雷蔵の方を見るも。
「僕も気になるな。二人、何かあったの？」
追い討ちをかけられただけだった。
「別に？ ただ」
兵助が後ろからそう言いながら近づいてくる。
これでなんとかなる、と思ったのに。
「ちょっと色々あっただけ。詳細は秘密」
後ろから私の肩に手を回して兵助が言った。
「な？」
そう言って笑う兵助を見て、私が頭を抱えたくなったのは言うまでもない。
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冴川冬香(プロフ) - j061191さん» ありがとうございます！ 沢山楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2020年6月26日 18時) (
レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - 面白くて�気�ら一気に読みました！兵助くん大人しそうにみえて意外と大胆な所もあって…続きが楽しみです。 (2020年6月26日 0時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冴川冬香 | 作成日時：2020年6月6日 8時
