撤収 ページ21
「大丈夫」
兵助を医務室に運んでいた勘右衛門が、木からスルッと降りてきてそう言った。
「太めの血管が切れてたから血が多く出てただけで、怪我自体はすぐに治るって」
「よ、良かったぁ」
私はほっとしてその場に座り込む。
「ん？ あぁ、A、戻ったの？」
勘右衛門に聞かれて私はこくりと頷く。
「あら、残念。もう戻っちゃったの？」
そんな声に驚いて、私はバッと振り返る。
「ねね先輩！」
すぐ近くの木の上に立つのは、ねね先輩と文左衛門だった。
「できれば私のことも忘れずに呼んでほしかっ
「こんなことなら、もっと強力な薬を使えば良かったわ」
後ろで何やらぶつぶつ言っている文左衛門を完全に無視して、ねね先輩が溜息を吐く。
「者共、撤収！」
右手を上に高々と上げて、学園中に響き渡るほどの大声でねね先輩がそう言った。
それを受けて、散らばっていたチャミダレアミタケ忍軍が一斉に集まる。
「ねねくん、いいのか？ 勝手に判断して」
文左衛門の質問を、ねね先輩はフンと鼻で笑った。
「蘭のいないウチの忍軍なんて、この学園に敵うわけないわ。組頭にも、何かあった時の判断は任せると言われてるし……」
「私、何も言われなかったのだが！？」
「ベテランだからどうにでもなると思ったんでしょ」
夫婦漫才のような会話をしながら、ねね先輩たちは学園から出て行く。
「蘭！ ……いえ、A！ ここの奴らに虐められたら、いつでもいらっしゃい」
茶目っ気たっぷりにそう言ってウインクを投げてきたねね先輩に、私はそっと頭を下げた。
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冴川冬香(プロフ) - j061191さん» ありがとうございます！ 沢山楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2020年6月26日 18時) (
レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - 面白くて�気�ら一気に読みました！兵助くん大人しそうにみえて意外と大胆な所もあって…続きが楽しみです。 (2020年6月26日 0時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冴川冬香 | 作成日時：2020年6月6日 8時
