壊れた忍

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・伊作目線


伊作「.......」


何故学園長先生がこの子を生かしたのか分からない。


けど、きっと、それなりの理由があるんだと思う。


この子の身体の傷を見て、そう思った。


骨が浮き出るほど細い身体。


そんな細い身体のあちこちには、鞭で打たれた痕や刃物で切り裂かれたであろう切り傷、殴られたのか、打撲痕......


他にも、たくさんの傷が身体中についていた。


伊作「滲みない？大丈夫？」


A「ああ」


痛覚が鈍ってる。

こんな傷、常人なら耐えられない。


僕たちでさえも、きっと音を上げる。


それをこの子は、なんとも思ってない。


それが日常だったんだ、痛覚が鈍るのも、当たり前だ......


伊作「.....」


A「あんたは優しいな」


伊作「え？」


A「仮にも、お前達の長を殺そうとした相手だぞ」


伊作「例えそうだとしても、君を痛みつける理由は無いし、それに.....怪我人を放っておくほど、僕は鬼じゃないよ」


A「あんたは忍に向いてないな」


伊作「あはは、よく言われる」


こうやって、普通の会話をしてわかる。


この子、壊れてる。


言葉に、感情が乗っていない。


壊れてるんじゃない、壊れたんだ。


心が、限界を迎えたんだ......


伊作「酷い、話だ......」





ずっと、ここにいて欲しい。



この子の、心を元に戻したい。





直感的に、そう思った。

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