壊れた忍

・ ページ40

・伊作目線


伊作「あれ、また寝ちゃった？」


立花「ああ、ぐっすりだ」


僕の服にしがみついて、小さく寝息を立てるA。


珍しく、僕たちの周りにある気配に気づかなかった。


ずーっとしてたんだよ？

Aが甘える相手が僕や仙蔵で、羨ましがる人達がね。


でも、それさえも気づかなかった。



だいぶ気を許してくれたんだなと思うと、凄く嬉しい。


立花「初めて会った時より、だいぶ表情豊かになったよな。まだ全然笑顔は見せないが、少しだけ明るくなったような」


伊作「うん。僕たちの苦労の賜物だよね」


感じないと言ってた味覚も、最近機能し始めた。


痛覚も、元に戻ってきた。


真っ黒だった瞳に、最近光が宿り始めた。


嬉しい。


伊作「A〜、君はこれから色んな人に愛されるよ。だから、死なないでね」


立花「それはAへの呪いか？」


伊作「ふふ、そう。僕からこの子に捧げる祝福(呪い)」


立花「ははっ、恐ろしいな。特にお前のはな」


伊作「何でさ」


立花「お前の言葉には魂が宿り易い。それは伊作が一番分かっているだろう」


伊作「ふふ、そうだね」






死なないで、A。




これは、僕から君に贈る祝福だよ。

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