壊れた忍

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伊作「っ、A！！」


A「！なんだ」


静かだなと思っていたら、突然大きな声で名前を呼ばれ、振り向いた。


伊作「怪我してるだろう！なんで何も思わないのッ！」


A「？」


ああ、そういえば左手怪我していたな。


忘れていた。


伊作「痛覚が鈍っているのはわかるけど.....少しは自分に気を使って！」


A「.....すまない」


伊作「もう....怪我見せて、手当するから」


A「ああ」


血塗れの左手を差し出した。


伊作「痛みが分からないのは仕方ないよ。けど、お願い。怪我したと思ったら、僕のところに来て。我慢しないで」


A「......」


我慢、しているのだろうか。


分からない。



いつから、いつからだろう。


俺が、痛みを感じなくなったのは。



いや、感じなくしたんだ。


痛いから。


鞭で打たれる、殴られる、切られる、焼かれる。



痛いから、痛くて痛くて仕方が無いから。


気を抜くと、吐いてしまうくらい痛くて、辛いから。



いつからか、自分で痛みを感じないように......




痛いって、どんな感じだっただろう。




A「......」


伊作「ん？どうかした？」


A「いや、なんでもない」





でも何故だろう。



この人が悲しそう....辛そうな顔をすると、左胸の奥あたりが、ズキズキと痛むんだ。








これは、なんの痛みだろう。

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