壊れた忍

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A「もう、全てどうでもよかったから」


平「！」


A「生きる理由なんて、なかった。幼い時から、きっと俺はこんなだったんだ」


綾部「きっと？」


じっと俺たちを傍観していた綾部喜八郎が声を上げた。


A「きっとだ。俺には、幼い時の記憶が無い。ぼんやりしていて、靄がかかったように、分からない。知らない、俺は....ずっと松川の操り人形だった」


平「そうか。辛いとか、思わなかったのか」


A「さあ。俺の最愛の母上が目の前で殺されてから、もう何も、分からなくなってしまった」


本当の人形に、成り下がったんだ。


俺は、果たして人間と言えるのだろうか.......


A「すまないな」


平「なぜ謝る」


A「じゃあ何故、お前が泣くんだ」


そっと、平の目元を拭った。


田村「社A」


A「なんだ」


泣いている平を横目に、田村が話しかけた。


田村「今はまだ分からないが.....きっといつか、お前のココが愛や思い出でいっぱいになるぞ」


そっと俺の心臓辺りに手のひらを置いた。


A「愛や、思い出......」


綾部「作ろうよ、いっぱい。辛いのも苦しいのも、嫌いなのもぜーんぶ、忘れるくらい」


平「もうお前は、独りじゃないからな」


A「ひとりじゃ、ない......」


タカ丸「独りじゃないよ、A」


A「.......ああ」







俺には、仲間がいたことがない。



だがら、自然に思えた。



とても、とても、嬉しいと.......

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