不運大魔王の幸運な弟 にぃ

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伊作「あ！また木に登ってる！留三郎っ！！」


しばらくすると、伊作が木の上に登ってきた。


食満「しー.....」


人差し指を口元に当てて、静かにしろとやった。


伊作「！寝ちゃったの、A」


食満「ああ。伊作を待とうとしたんだろうが、今日頑張ってたからな。疲れて寝ちゃった」


伊作「かわいい〜」


俺の胸に頭を預けて、脱力して寝てるA。

よほど疲れたんだろうなぁ.....


大トリで、かなり緊張した中、あの涙の演技と台詞。

緊張で忘れなかっただけすごいと思う。


伊作「起きたらまた、Aに言わないとなぁ.....またこんな高いところに登って.....」


食満「前から思ってたんだが、なんでAはそんなに高いところが好きなんだ？」


伊作「空が近くなるからだって」


食満「はい？」


伊作「いつもは自分から遠い空が、高いところに登ると、近くなるから好きなんだって。あと、風ね」


食満「なんか、Aらしいな。Aはさ、なんというか.....少しズレてると言うか....」


伊作「そうなんだよねぇ.....人と違う観点を持ってるから、村でも同い年の子には少し遠巻きにされてた」


食満「あ〜......」


だからあんなに、人と話したがらないのか。


でもそう考えると、は組の子たちはすごい。


そんなAの作った砦をぶっ壊して内側に入ってくる。


食満「Aが一年は組で良かったな」


伊作「うん、それは思うよ」




にしても、本当に起きないな、この子。


それもAらしさだな。

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