ボッチくんの奮闘

・ ページ32

・喜八郎目線。



今日は、Aが教室に来ると広大先生から聞いていた。


正直、楽しみだった。


ずっと気になってたAがようやくここに来るって聞いて。


教室にはいい思い出がないって、辛い記憶がいっぱいだって、先生が言ってた。


『ボッチくん』

それがAのあだ名だった。

二年生の時.....いや、一年生の時からそう呼ばれていた。


そして、虐められてきた。


これは、助けられなかった僕にも非がある。

だから、少しでもAと仲良くなりたい。


そう純粋に思った。



綾部「入らないね、教室に全然」


平「怖くて入れないのだろう」


だから、教室に入れないAにはビックリした。

まあ、だろうとは思ってたけど。


綾部「僕が迎えに行く」


平「あ、ああ。気をつけてな」


綾部「うん」


僕は、教室を出て蹲ってるAに話しかけた。



当然のことなのに、当たり前のことなのに、なんでそんなにビックリするの？


なんでそんなに、嬉しそうにするの？


綾部「ね、A」


A「は、はい......」


綾部「これから、僕が迎えに行く。少しづつ、慣れていこう？僕、早くAと仲良くなりたい」


A「！」


ほら、この顔。


心做しか、嬉しそうにしてるし。


当たり前なのにな.....



その当たり前をなくしたアイツらは、ほんと呪われればいいと思う。


A「あや、べさん.....」


綾部「ん？」


A「ありがとう、ございます......」


ふわり......


花が咲いたように笑ったA。


綾部「っ、うん.......」


そんなこと言われるとは思わなかった。


僕は、赤くなった顔を隠すように、そっぽを向いた。






ほんと、調子狂わされてばっかりだ.......

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