Blue_14 ページ15
少し走った先の交差点、血が滲むアスファルト。
無造作に横断歩道の先に停車しているトラック。
悲鳴を上げながらその場に駆け寄る女の人。
そこに居たのは、
『 ……な、す? 』
声を上げて泣いている小さな子供と、地面に倒れている那須だった。
『 那須!!!!なんで!!ねえ!!しっかりしてよ!!那須!!! 』
慌てて追いかけてきた飛貴くんも、この光景を見てその場に立ち尽くしていた。
しばらくして、サイレンの音が鳴り響いた。
『 待って!やだ!ねえ待ってください! 』
救急隊「 付き添いの方ですか? 」
飛「 そうです!俺ら2人で! 」
救急隊「 大人の方はいらっしゃいますか? 」
飛「 いえ、今は…… 」
救急隊「 では、ご家族の方に連絡をお願いします!今は乗ってください! 」
飛「 はい! 」
飛貴くんに連れられて、救急車の中に飛び乗った。
また、サイレンの音が街中に鳴り響く。
飛「 岸くんに電話するね 」
飛「 きっと大丈夫だから、落ち着いて 」
さっきまで動揺していたはずの飛貴くんが、優しく私の背中を撫でてくれた。
まさか、こんな夏になるとは思っていなかったから、頭の中は混乱でいっぱいだった。
飛「 岸くん、電話代わる? 」
一通り事情を説明した飛貴くんが、私に携帯を渡してきた。
小さく頷いて、恐る恐るスマホを耳に当てた。
『 もしもし、 』
優「 Aちゃん!大丈夫か? 」
『 ゆうくん、那須が死んじゃったら、どうしよう…… 』
込み上げる恐怖と不安、優しいゆうくんの声を聞いて余計に涙が止まらなくなった。
優「 大丈夫だから!絶対大丈夫!
俺もすぐそっち行くから飛貴と離れんなよ! 」
『 分かった、待ってる
ゆうくんも気を付けて来てね 』
電話を切って飛貴くんに渡す。と、同時に飛貴くんに抱きしめられた。
暖かくて飛貴くんの匂いに包まれて、胸の奥がさーっと熱くなった。
飛「 大丈夫 」
サイレンの音が頭に響く。
気が遠くなりそうなぐらい、苦しくてたまらなかった。
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作者名:mii(みぃ) | 作成日時:2021年7月15日 18時