８ ページ8
.
個性把握テストが始まり、皆良い成績を叩き出している。
そう言えば名簿の中に出久の名があったがあの子、個性を持っていたか？
いや記憶の限りではないはずだ。
だとしたらなぜヒーロー科に？
相澤｢次、最後徳田｣
｢はい｣
まぁ良い、私には関係ない。
体操服を捲りあげて私は一人で線の前に立つ。
相澤｢位置について、
よーいスタート！！｣
私は声と同時に走り出し、一瞬で五十米先の線へと到着した。
相澤｢2.39｣
なんだ、異能力を使わなくても何とかなるじゃん。
私は前髪をかきあげて小さく笑う。
相澤｢じゃあ次の競技｣
握力、立ち幅跳び、反復横跳びと淡々とこなしていく。
悪くもなければ、良すぎることもない部分で留めて。
最後のボール投げ、
途中で私に話しかけてきた八百万百ちゃんが私の隣に立っている。
八百万｢ボール投げは自信はありますの？｣
｢んー、普通かな！｣
私は一人の生徒として接する。
この笑顔も異能力で装っているが中々しんどいものだ。
ボーッと見ていると出久には“個性”があることを知って。
｢なんで.....｣
小さな声で私はそう言う。
あの子は無個性だったはず。
勝己の様子からしてもそうだ。
私はなんで、と言葉を漏らしてしまった。
相澤｢最後
徳田｣
｢はい｣
勝己の隣を過ぎて前に出ると勝己も出久も驚いたように目を見開いて。
相澤｢お前個性一度も使っていないだろ｣
｢使う場面ありましたか？｣
私の異能力では関係の無いこと。
相澤｢まぁいいさっさとしろ｣
だがボール投げは流石に普通の腕の力だけじゃあ投げることは出来ない。
私は指を鳴らして背後に仮面を出す。
太宰さんに教えこまれたんだ。
言葉に出さないように、
光が出ないように異能力を使う方法を。
最大限の力を出す時は言葉にしなければならないが今は特に必要ない。
私は仮面から死神の鎌を取り出してクルクルと回す。
そして野球のようにボールを上に上げ、鎌を振りボールを飛ばした。
ピピッと計測器が反応して。
相澤｢1,049メートル｣
何だ、たかがそれだけか。
鎌を手放すと鎌は消えて。
髪は少し浮いていたのがチラリと見えたため、個性を使っていたのかとすぐに分かる。
私は隣を通る時に小さな声で言った。
｢私にしたら個性持ちの人は無個性と同じなんですよ｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 538人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきな(プロフ) - 夢主優しいっすね！私なら医療費プラスで迷惑料貰いに行きそう…これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます。 (2019年11月26日 13時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
ムクロ(プロフ) - 面白いです!これからも更新頑張ってください！ (2019年11月19日 22時) (レス) id: 1f680d1d0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美海
| 作成日時：2019年11月19日 20時
