夢語神龍弐【名前固定】 (ページ25)

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三節　十部ページ25

街へ行くと出店で人は大賑わい。これといって催物(イベント)もない今日。この街は何故こんなにも賑わっているのかと言うと元々中心区域の中でもここは人も多く、毎日お祭り騒ぎなのだ。
　それがここの特徴で人が集まる理由である。

「クロ！これ買って！」

　指を指した先にあるのはチョコレヱト箱(ボックス)。チョコレヱトはそれなりに高価なもので、貴族のデザートに出されるものである。庶民の多いこの場所で売っていることは非常に稀な事で滅多に購えない存在であるチョコレヱトを見つけてナオは目を輝かせた。

「はぁ、わかった」
「えぇ？僕買うよ？」
「いや、いい」
「えぇ～なんか傷つく…」

　落胆している金龍を他所に黒龍は買ったチョコレヱトをナオに渡す。

「ありがと!!」
　
次はあっちに行こうとまた歩き回る。

「あんま使いすぎんなよ」
「おけけ、だーいじょぶだいじょぶ」

(心配しかない)

　そんなナオらを遠目に橙龍とアカは二人でこの街中を楽しんでいた。と、言うより、

「トーリュークン、これなに？」
「洋菓子だ、主君のいう『ケヱキ』というものらしい」
「………けーき」
「甘いらしい。あの白い…くりーむ？になってるとことか」
「そりゃ女の子に人気だよねぇ」

　ショーケース越しに見えるケヱキの前に座り込み見つめるアカとその隣で中腰で指差しながら答える橙龍。
　そう、先程からアカが聞き橙龍が答える、正に親と子の様な状態でいた。それは態とこうして時間を使っているかのようで、橙龍はナオらの元へ中々辿り着けず早く行くぞと時々急かしつつアカと共にいた。ほっとかずにいるのは無意識か警戒か、それとも＿＿＿

「さっさと主君の元へ行くぞ」
「………そ、う…だね」

(………あの人の元にいると色々揺らいで悩んでしまうからあまりなぁ…)

「……」