三節 三部 ページ18
アカを置いて一人戻ってきた黒龍にナオは何を話していたのか問いた。
「迷子の馬鹿犬に道教えてやったんだよ」
「迷子の馬鹿犬て…」
「それより、決まったか？」
黒龍の問いにナオは苦笑いで答える。
「うん、まぁね」
「今から探しに行くんだよぉ〜！」
二人の話をいつの間に聞いていたのか金龍は後ろからナオにぎゅーっと抱きついて黒龍にドヤ顔をする。
「お前はいつまでひっついてんだ！」
「へへん！悔しかったらクロ様もやればいーじゃんか！」
その台詞に少し固まる黒龍に煽るようにナオも「え、くる？」なんて揶揄い始める。
「行かねぇよ、子供じゃあるまいし」
「いてっ」
頭に軽くチョップを受け、そこを擦りながら橙龍達に行くよと声をかけた。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「でしたらこちらなどオススメです」
「うへぇ、なんかいっぱいでてきたぁ」
今、ナオらは役所に寄り、様々なでかい家を紹介してもらっていた。
「どうだ、主のピンとくるものはあるか」
「うーん……これとこれとこれは気になる」
出された紙をひょいひょいと手に取ると黒龍は呆れた目でナオを見た。
「どんなかみてみよーよ！」
「でしたらご案内致します」
「ありがとうございます」
役所から移動し、紹介された一件目。
「へえぁ…」
「どんな声だよ」
「リークレオレイズの鳴き声」
「……どんな声だよ」
ナオは壁が石っぽくなっているからか、冷たく感じる目の前に聳え立つその家に思わず気抜けた声が漏れた。
因みにリークレオレイズなんて生き物は居ない。
(うーん、なんか違うな……)
淡々と進んでいき次案内されたのは、赤茶色で暖かな雰囲気を感じさせる煉瓦造りの家。
これは結構ナオの好みで目を輝かせていた。
「どうです？」
「……先に最後の建物見ます」
「かしこまりました」
最後、案内されたのはログハウスのような自然溢れた家。
(え、それは悩む)
「こちらは中央区域より北区域に近いとこになります」
顎に手を添え悩むナオに黒龍は何となく嫌な予感がして声をかけた、が、時すでに遅しか。
「よし、さっきのとこれの両方買う！」
「「「はぁ!?!?」」」「流石だねぇ〜」
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2019年7月28日 19時
