一節 十二部 ページ48
「そうだな………もしかしたらあの子神龍かもしれん」
「ほうほう、それは何を根拠に?」
「まだ推測でしかないけど………って、うわぁ!?!!」
「やっ、噂の赤髪です♪」
マジビビったんけど…
バクバクと早鳴る心臓を抑えるナオを他所目に「それで?何を根拠に?」と答えを急かす。
「名前は?」
「オレの?無いよ〜」
ナオの質問に少し疑問を感じつつお好きに呼んでとおちゃらけて答えると、ナオはそれ、と指を指した。
「ほうほう、もしかしたら家庭事情があるかも…?あとはウソついてる可能性も〜」
それも一理あると少し考える素振りを見せるとナオは彼の奥にいる店員さんに声をかけた。
「どうされましたか?」
すると店員さんは彼にぶつかるくらい近い位置にきた。
「同じ洋菓子
「かしこまりました」
店員さんが去っていくのを見届けるとナオは彼の前にピースをして笑う。
「二つ目、他の人間にあなたの姿は見えない」
「なるほど、それは言い訳が難しいのだけど…もし無視するよう指示していたら?あとは彼女のパーソナルスペースが狭いとか、オレが好きとか!」
「それは無理がありすぎる」
「即答!ま、それもそうか〜」
ケラケラと笑う彼はあっさり認めちゃう感じでナオは困惑する。え、それでいいの?
何とか調子を取り戻しつつ話を進めた。
「んで、強制的に龍だと認めさせた訳だけども……君は何者なの?」
「オレ〜?ただの龍だよ」
「……吐け」
黒龍はイライラとしていたのかいつの間にか立ち上がり赤髪の首にナイフをあてていた。ナオが辞めるよう言えば舌打ちし、ひと睨みしたと思ったら素直に席に戻って行く。従順な犬か。
あはは〜と、キリュウに似たような笑い方をする彼はあっと何か思い出したかのように声を上げた。
「何か勘違いしてるかもだから言っとくね?オレは、ほんとに、ただの龍だよ」
果たして、ニヤリと笑う彼の言葉を信じていいのか……
(まぁ、信じらんねぇよなぁ)
「ねぇ、何が目的なん?」
「ないよ」
「ほんとに?」
「ほんとに」
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作者名:宇宙ノ彼方 | 作成日時:2018年12月26日 11時