一節 十三部 ページ13
神龍とは、本当は人間には見えない神秘のものである。神龍が見える人間は【神ノ眼】と言う特別な力が宿った瞳を持っており、ナオの様に神龍を従わせることが出来る。
しかし、稀になんの力も持たない純粋な子供が見ることがある。それはまた【
ただ、龍の姿は見ることは出来ないが、ナオの様に特別な力を持つ者と神龍が契約すると人の姿の時だけだが一般的な人間にも見ることが出来る。
(なんで自分はこんな力を持ってるのか不思議で堪らんがな)
「もうすぐ着くぞ」
「はいはい」
降りるためにナオは身を低くした。
ナオと黒龍の出会いの話をするのはまた先の事になるだろう。
「ここかぁ…」
地上に降り立ち、二人は入口を見上げた。
「ボロいな」
線路は錆び、トロッコは木で作られてもう乗れないほどに脆く、岩も全体的に罅が入っており、もう地震でも来たら壊れるのではと思うほど、ナオのセリフ通りボロボロだった。
これはどう見ても一年も保てないで崩れてしまうのでは。黒龍はここに入ることを断念したかった。
「主、ここに入るのは「うっし、行こう！！」…」
ナオはキラキラと期待に瞳を輝かせ、これから出会うものにワクワクと心躍らせていた。
その姿に黒龍は思い出す。
(そうだ、主はこういう感じが大好きな人だった…)
だがしかし、入ってる間に崩れてしまっては元も子もない。中には何があるかも分からない。もしかしたら守り切れないことだってあるかもしれない。黒龍は意を決して諦める説得を開始する。が、
「だが、「入るったら入る！あ、でもクロは待っててねクロ怪我したら困る」…」
さも当然のように言われた台詞に一瞬固まるが、それはつまり置いていくと言われていると理解した黒龍は拒否した。
「主が行くなら俺だって行く」
「お前ほんと主大好きかよ！！」
爆笑するナオに冷めた視線とイラつきの念を送った。
ぽけっとするナオをみて意味が無い、とこちらが諦めてしまった事に呆れつつ、入口へ足を進めた。
「置いてくぞ」
「うぉあ！？主を置いていくとは何事かね！！！？」
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
暗闇の中、人の気配に、はためく蝙蝠。ぴぃぴぃと高い声にナオは蝙蝠の存在を確認した。
「ん〜、蝙蝠がいるくらいで特にだなぁ」
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2018年12月26日 11時
