二節 二部 ページ29
「探索って知らないものを調べるみたいな意味だし、名無しの城ってチョイスも不思議だった。だって、名無しの城ってもう人々にとって無いものに等しかったし。なんならその存在を知らない人の方がもしかしたら多い。
しかもオカルト的な話があるくらいだ、こういうんはわざわざ依頼するほどじゃないと思う。高確率で死んでるからね。
例えば自分の子が行方不明なんだってんなら依頼するより警察の元に行くべきだね。これの理由は多分、探索の【意味】でしょ?『見つけて』ってね。名無しの城にした理由はキリュウに名前がなかったからかな。自分らんこと知ってたんよね、自分も龍だしなんとか仲間に……とか?」
「…さすが主様。名前が無いとね、人には見えない見つけてもらえない。だから、依頼書に書いたの。探索願:報酬は黄金の龍。場所は北西区域の山の方の廃墟、名無しの城__【僕を見つけて】ってね」
「黒く塗りつぶされてたけど」
「だってそんなこと書いてあったら…まぁ、つまり僕はわがまま含め見つけて欲しかった。主様にはほんとに感謝してる。だから僕の全てを捧げるよ。この命にかえても主様をお護りし、主様に仕え、そして主様に尽くす」
「別にいいんけど、ストーカー行為は控えてね」
それに関して金龍はニコニコと笑うだけだった。
「だから、返事しろや」
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「あー……やばい、キリュウ見つけたのはいいけど疲れてやる気が出なぁい‼︎」
「ありゃまぁ」
金龍の呑気な声と同時にナオはぐだぁっと床に横になる。
あれから三人は廃墟から去り、前回と同じ宿に戻ったはいいものの先程からナオはこんな感じである。
「とりあえず、風呂に入ったら」
「動くのめんどい」
「それ言ったらもう何も出来ねぇよ」
黒龍の提案も一言で切られ、黒龍は呆れる。
「あぁぁぁ……」「疲れきってるねぇ」
「こんな状態で風呂に入られても、風呂で寝てってのがオチか」
「死なれると困るなぁ」
生気のない瞳が此方を見たと思えば__
「朝風呂………寝る」
「もう喋る気力もねぇじゃんか」
「寝かせないとねぇ」
ナオは力尽きたようで泥のように眠りについた。
その時、黒龍の真横でシャッター音がした。
「「………」」
若干逃げ腰の金龍の肩をぐっと掴み黒龍は金龍に圧をかける。
「おい、今カシャって音したが」
「きっと気の所為だよ〜」
「お前が持ってるそれはなんだ」
「携帯端末機」
冷や汗を流しながらもニコニコと笑う金龍。
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作者名:宇宙ノ彼方 | 作成日時:2018年12月26日 11時