夢語神龍壱【名前固定】 (ページ19)

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一節　十九部ページ19

「殺し合いか」
「？」
「この宝だ、独り占めしたい奴が人を殺す。そういう殺し合い目的の悪質な依頼」
「何故そんなことを？」
「人の欲だろうね、そういう醜い闘い(あらそい)を見たいクズがいるんだよ」
「なるほどね〜」
「でもま、おっさんが壁壊してくれたからやっとここから出れる」
「どっから来たの？」
「あっちから来たはずなんけど塞がっててね、出れんくて困ってた」

　ナオは来た道を指さす。
　これがなんなのか理解出来たナオは、誘い込まれた者を一方的に閉じ込めることが可能な【トラップ】であること、そして自分はそのトラップにまんまと引っかかったことも瞬時に理解した。

「なるほど〜」
「……おっさんも宝いる？」
「貰っていいの〜？」
「ん〜まぁ、うんお気に入り以外は」
「んじゃ少しもらおうかな」

　▲▼▲▼▲▼選別中▲▼▲▼▲▼

「いぇ〜い、ホンモンやったら大儲けー」
「楽しそうだね〜お嬢ちゃんは」
「ん〜…まぁね」
「だけど警戒は解いてくれないね〜」
「そりゃあ、襲われる可能性もありありやかんね」

　ナオはちょうどいい柱に座り、ゴンサロと陽気に話していると遠くの方から聞き慣れた声がした。

「主！！」

「およ？」
「お仲間かい？」
「うん、多分」

　ナオは息を吸って空いた壁に向かって叫んだ。

「クロー！！」「わぉ〜」

「主っ！！」

　ゴンサロが壊した壁から黒龍が姿を現す。
　ゴンサロの壁を壊した音が聞こえていたのか、相当慌てたのだろう、息が切れ切れていた。
　そんな黒龍に向けてナオは陽気に片手を上げる。

「やっ」
「っ…」
「びゃっ！？」

　黒龍はナオの姿を確認すると少し泣きそうな顔をして、そのままナオに抱きついた。

「どうしたよ」
「勝手にいなくなりやがって……」
「心配したと？」
「当たり前だ」
「ったく、クロったら心配性なんからなぁ」

　可愛いヤツめ、とナオはぽんぽんと黒龍の頭を撫でる。
　黒龍はやっと安心出来たかのようにぎゅうと抱きしめる力を強めた。