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座っていたベンチの前に、甚平を着た金髪の男の人と黒髪の男の人が立っている。ゴクリ。私はたまらず息を呑んだ。
「オネーサン、ひとり？」
「俺らと一緒に遊ばない？」
───なんていうことは起こらず、お兄さんはかき氷の売ってる場所を尋ねただけだった。
「オネーサン、ちょっといい？」
「俺らさ、かき氷食べたいのにお店が見つかんなくてさ」
「………えっ」
「よかったら、どの辺にあるかだけ、教えてくんね？」
「あ、は、はい」
ドラマの見過ぎでした。てへ。
動揺をバレないように、お店の場所を伝えると「ありがとうオネーサン！」と爽やかな笑顔で去っていった。「早くしないと怒られる」「ヤベー電話だ」と言いながら慌てて駆けて行ったから、彼女のお使いかもしれない。ふふ、ちょっとだけびっくりしたけど、かわいらしい人達だったなあ。彼らが去っていた方向を眺めながら、シャリ、とかき氷を食べる事を再開した。
「ヌナ」
「あ、ユンギくんおかえり〜」
ちょうどかき氷を食べ終えて一息ついた頃、ユンギくんが戻って来た。
手には焼きそばを2つ。そしてなんとホットクまで買ってきてくれた。
「しょっぱいものと甘いもの両方買って来てくれるなんて…くううストライク…」
「ヌナは単純だもん、わかるよ」
「ヤー！言ったな〜？ユンギくん！……さすがです参りました」
いくらだった？と私の分のお金を渡そうとしても、一向に貰ってくれないから、ありがたく奢ってもらうことにした。そりゃあ私より圧倒的に稼いでらっしゃるけど、一応私が年上だから…後でまた屋台に行ったときにいいものがあれば何か買ってあげよう。───今はもう目の前で湯気が上がっている焼きそばに想いはいっぱいだ。
「おいしそ〜〜いただきます！」
「ん、いただきます」
「もぐもぐ…ん、おいし〜〜〜〜！」
「そりゃよかった」
「お祭りとかイベントの時って普段より色々お腹に入るのはなんでだろうね〜しあわせだ〜」
「確かになあ…」
それから私たちは、お祭りマジックで大きくなった胃を満たすように、焼きそばとホットクを平らげ、花火が上がる時間までのんびり屋台をまわって過ごした。
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作者名：みいこ | 作成日時：2022年9月6日 15時
