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ページ17

◇一七◇





「なァ生活費、この茶菓子どこの店のやつ? 割引券とか持ってたら譲ってくんない?」

「オーイ生活費ィ! アタシの胃袋はこんなみみっちい饅頭一つで満足するような代物じゃないアル。もっとじゃんじゃん持ってこんかい」

「人を生活費呼ばわりするやつにこれ以上渡すものなんてねェ!! 帰れ!!!」




 ボイラーの修理を終えた万事屋一行は厚かましく尊大な態度でそんなことを口にする。一応報酬分の働きはしてくれたんだし面倒くさいけど労ってやるか、という私の気遣いを返せという気持ちだ。言っとくけどその饅頭結構いいやつだからな。んまい棒と迷ったけどそっちを選んでやった私の優しさにひれ伏せバカヤロー。



「なんかすみませんね、Aさん……。あ、お茶のおかわり頂けますか?」

「自分でやって。なんのための人間付きお茶汲みメガネだと思ってんだ。自分の役目を思い出せよ」

「思い出せよってボクそんな役目背負った覚えないんですけど!?」



 もーやだ。面倒くさい。これなら給料泥棒してた方が幾分かマシだった。メガネ君の常識的な振る舞いでさえなんかもうヤダ。さっさと残りの二人連れて帰ってくれないかな。

 そんなことを思い、私は客人の前であるにも関わらず机に頬を起き寝そべる姿勢をとる。報酬は渡したのだし、ボイラーの修理は終わっているのだから彼らがここに留まる理由はないはずなのだ。出した饅頭は最初の五秒で器から胃袋へと引っ越しを果たしたし。

 自分の淹れた茶を啜る。別段美味くはないが、不味いこともない。普通の味。まあ、私は別にお茶汲み業務で給料を得る一昔前のOLではないのでこれ以上美味く淹れてやろうとかそういう向上心はない。



「あー、そういやお前」



 可もなく不可もなくな茶を流し込んでいた私に、かけられる声があった。



「なに」

「チンピラマヨ警察と順調って噂マジ?」



 ぴたり。茶を傾けていた手を止める。


 チンピラマヨ警察。
 チンピラ、マヨネーズ、警察。


 私の知る限り、それらを併せ持つ奇跡の人材はこの世に一人しか存在しない。脳裏に浮かべた眼孔鋭い“ヤツ”の姿と、この天パが言い放った言葉を合体させてその意味を悟った私は、「はァッ!!??」という素っ頓狂な声を上げる。




「誰だそんな激寒な噂流してるの! 闇討ちするから教えてくんない」

「あー、お前知ってるかな。サディスティック星の皇子サマっつーんだけど」

「オーケー把握した。ちょっと武器調達に行ってくるわ」

「やめとけ、返り討ちにされんのが関の山だ」

質→←爆



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ASK - 他と被らない設定、とても良いと思います。あまり甘々な絡みが好きではないので丁度いい (2019年5月21日 19時) (レス) id: 49e118c28b (このIDを非表示/違反報告)
三文(プロフ) - 純野翠雨さん» コメントありがとうございます。個性の強い夢主は嫌われやすいかも、と密かに不安だったのでそう言っていただけると嬉しいです!よろしければ、引き続きお付き合いいただけると幸いです。 (2018年9月17日 0時) (レス) id: 1d9b4e262e (このIDを非表示/違反報告)
純野翠雨 - テンポよくお話が展開していってすごく面白かったです!ヒロインのキャラが読んでて楽しかった! (2018年9月16日 21時) (レス) id: 13f3f7b214 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三文 | 作成日時:2018年9月3日 23時

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