走 ページ1
◇一◇
「――ったく。またお前か、有本A」
「それはこっちの台詞」
呆れたような、うんざりしたような表情で紫煙を吐き出した警官――土方十四郎は、差し出した免許証の名前と私の顔を交互に見比べてはため息を吐いた。
彼の後ろに停車している“真選組”の文字を背負ったパトカーは、つい先ほどまで私の愛車と鬼ごっこを繰り広げていた中々に見どころのある車である。
「オメーを速度違反で捕まえんのはこれで何度目だか」
「……二回目ぐらい？」
「四度目だ。あと二点で免停だぞ爆走癖」
「爆走癖言うなニコチン依存症」
険悪なのはいつものことだが、如何せん土方十四郎の眼孔は鋭すぎていけない。そんなんじゃ女にモテないぞとでも言ってやりたいが、目の前の男は噂によると引く手あまたなほど女には困っていないようなのでその言葉はグッと飲み込む。
「いいかげん法定速度っつーもんを覚えやがれ」
「私の法律だと150km以下はバリバリ法定速度内なんで」「んな法律が通用するかバカ」
ふしゅぅ、と間抜けな音をたてて吐かれた白い煙は、異郷の船が飛び交う江戸の青空へと消えていく。公務中に喫煙とは、とんだ不良警官もいたものだ。
「――というか私は一般市民の中でもとりわけ真選組に金を落としてんだから、もうちょっと大目に見てもらってもよくない？」
「そういうことは罰金じゃなくて寄付金を俺らに落としてから言え」
ご免被る。誰が好き好んでアンタらみたいなチンピラ警察に貢ぐか。アクセル全開、窓も全開。風を感じる全力ドライブという私の生きがいを邪魔するヤツにあげるものなど存在しない。というか今この一分一秒をヤツに搾取されているという事実すら耐え難い。
「肺を患って死ねニコ中」
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ASK - 他と被らない設定、とても良いと思います。あまり甘々な絡みが好きではないので丁度いい (2019年5月21日 19時) (
レス) id: 49e118c28b (このIDを非表示/違反報告)
三文(プロフ) - 純野翠雨さん» コメントありがとうございます。個性の強い夢主は嫌われやすいかも、と密かに不安だったのでそう言っていただけると嬉しいです！よろしければ、引き続きお付き合いいただけると幸いです。 (2018年9月17日 0時) (レス) id: 1d9b4e262e (このIDを非表示/違反報告)
純野翠雨 - テンポよくお話が展開していってすごく面白かったです！ヒロインのキャラが読んでて楽しかった！ (2018年9月16日 21時) (レス) id: 13f3f7b214 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三文 | 作成日時：2018年9月3日 23時
