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家に着いて、着替えもせず、ご飯も食べずにソファになだれ込んで数時間。
ピコンとメッセージを受信する音に慌てて反応する。
帰ってきたままだった鞄の中からスマホを取り出す。
僅かな望みを掛けて画面をタップすると、
相手は藤ヶ谷先輩だった。
『ちゃんと話せた?』
こうやって気にしてくれる所、本当にやさしい。
なのに私ったら何やってるんだろう。
『ダメでした。』
そう打って送信ボタンを押すと、また涙がじわじわ滲んできた。
♪〜〜
いきなり藤ヶ谷先輩からの着信にびっくりして、出ない訳にもいかず通話ボタンをスライドさせる。
「ふじがやせんぱい…」
『A?泣いてるの?』
優しくて暖かい声につられて溢れる涙。
「私、どうしたらいいでしょう…」
『北山と話せなかった?』
「仕事の邪魔するくらいなら、このままの方がいいかなって、思えてきて…」
『何も北山に伝えないってこと?』
「………はい」
『思ってるだけじゃ相手に伝わらないって言ってたの、Aじゃなかったっけ?』
私が、綾瀬さんとの事で藤ヶ谷先輩に言った言葉だ…。
『もし、本当に北山が移動になったら、Aはあの時の俺と一緒だよ。絶対後悔する』
「でも、、」
『好きなんでしょ?北山のこと』
「………そう、だと思います」
『じゃあ、ちゃんと伝えなきゃ』
「伝えても、本当に福岡に行っちゃったら…
辛い思いするなら、最初からやめておけばいいのかもしれないって思って」
『そこまで思ってるなら余計に、伝えなきゃだめだよA。後の事なんてまだどうなるか分からないだろ?』
「……はい」
『そうやって、Aが思ってること全部、意地はらずに言わなきゃ。』
「そう、ですよね…」
『俺はAに救われたから、今度はAを
助ける番。ちゃんとできる?』
「あんまり自信ないです、、」
『うーん、じゃあ、はい。背中、とんとん。
自信出てきたでしょ?』
「……ふふふ。出てきたかもしれないです」
急に天然な事言うから思わず笑ってしまった。
『ふふ。じゃあ、頑張れるね。
いい?素直に、思ってること全部、だからね』
「はい。頑張ってみます!」
『よし。また何かあったら話、聞くから』
「藤ヶ谷先輩、ありがとうございます」
『うん、頑張ってな』
通話を切って、そのまま家を飛び出した。
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mayumitsu(プロフ) - カエルさん» あらら(´・_・`)?全体に公開にしてありますが、まだ見れないですかね? (2018年10月12日 10時) (レス) id: f9bceb6954 (このIDを非表示/違反報告)
カエル(プロフ) - なんでか7ページから友達限定になって見れないです。 (2018年10月11日 17時) (レス) id: d9668794f8 (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - あやみつさん» こちらこそ、またまたコメントありがとうごさいます♪北山先輩にヤキモチやかれて八つ当たりされたい作者でございます(^p^)また見に来てください〜♪ (2018年9月27日 15時) (レス) id: cacc5e714e (このIDを非表示/違反報告)
あやみつ(プロフ) - 先日はお返事ありがとうございました!そして日々マメに更新して下さるのにも感謝です☆藤ヶ谷先輩もどかしいし、北山先輩のヤキモチが可愛すぎてもう堪りません!(;_;)引き続き楽しみにしていますね...♪*゚ (2018年9月25日 22時) (レス) id: dc18d6611c (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - ゆなさん» 初めまして!コメント&読んで頂きありがとうございます!ドキドキして貰えました?嬉しいです(//∇//)これからもよろしくお願いします! (2018年9月24日 13時) (レス) id: 7ed0067e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mayumitsu | 作成日時:2018年9月20日 17時