そのままの君が好き

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視察も無事に終わって
ロビーで談笑している人達。



例の綾瀬さんも、そこにいる。



……。



気になる。



たまたま通りかかった北山先輩を呼び止める。


｢北山先輩っ！｣

｢あ？なに｣

｢聞きたいこと、あります｣

｢なによ｣

｢…ご飯、行きましょ！｣

｢あー、今日はちょっと…｣


北山先輩の目線の先、
チラッとロビーの人達を見ると、
こちらに気付いた例の人がこっちに向かってくる。


｢ミツも、来るでしょ？｣

｢あー、うん、｣

私を気にしてくれてるのか、
歯切れの悪い返事。

｢ミツがいないと始まんないって、
部長が言ってたよ｣


親しげに話す、綾瀬さんと、北山先輩。


｢あ、さっきの、｣

私の方を向いて、スーツの胸ポケットから
名刺を取り出す綾瀬さん。


｢綾瀬 麗奈と申します。｣

｢は、どうも。…鈴木Aです｣

お辞儀して、名刺を受け取る。

｢いつもミツがお世話になってます｣

｢なんでそーなんだよ｣

｢間違ってないでしょ？｣

｢は、はい、その通りです｣

｢おいっ｣

私の肩を軽く押す北山先輩。


あははって、笑いながら髪をかきあげる
綾瀬さんからいい匂いがした。



と、そこに藤ヶ谷先輩。


｢あ、太輔｣



た、たいすけ呼び……！


｢綾瀬、｣


やっぱり、少しだけ表情が固くなる藤ヶ谷先輩




ぅおっほん。

分かりやすく、
わざとらしい咳払いをした北山先輩。

｢ま、同期集まるのも久々だし、
ぱーっといきますか｣

なっ、て藤ヶ谷先輩の肩に手を置く。


｢あぁ、｣

｢じゃあ、先に行ってるね｣

綾瀬さんは、ロビーの人達に混ざると、
エレベーターに乗り込んで行った。


藤ヶ谷先輩は、
自分のフロアに戻ってしまった。




じーーって、北山先輩を見る。

｢あんだよ｣

｢…飲み会ですか｣

｢接待だよ、接待。｣

｢んも〜〜〜｣

｢わーったよ。
早く抜けれたら、連絡するから｣

｢…ほんとですか？｣

｢たぶん。｣


バタバタと鞄をまとめて、
行ってしまった北山先輩。






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20:15



ピコンとスマホがなって、
メッセージが映し出される。


『今からならいける』


北山先輩からで。



速攻で返信すると、

お店の名前と地図が添付されてきた。



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言われたお店に向かうと、
こっちー、って仕切られた座敷から
北山先輩が顔を出した。

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