ベランダの恋＿2

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乗った電車は前の職場の最寄りで止まって
降りるよ、って北山さんが言うから
少し緊張する。


誰にも会いませんように。



運良く職場とは逆方向の出口へ
足を進める北山さんにほっとしながら着いていく。




｢ここー｣


って連れてきてくれたお店は
和風かつモダンな外観でとってもオシャレ。


中に入ると北山さんの後輩っていう人が
こちらどうぞ！って半個室みたいになっている席に案内してくれた。



まずドリンクを注文。

すぐ届いたグラスで、北山さんと乾杯して。



｢おつかれ、Aちゃん｣

｢お疲れ様ですっ｣



北山さんはジョッキのハイボールを
半分くらい一気に飲み干した。




だめだ、
どうしても北山さんの口元を意識しちゃう。

私も頼んだサワーをひとくち飲むと、
北山さんが話し出した。




｢あのさ、先週はごめんね｣

｢………ぁ、いや、｣

｢俺、しちゃうのよ。したいと思ったら｣

｢........｣



北山さんの言葉に絶句していると、


｢………ふははははっ、嘘だって｣


って北山さんが笑い出す。




｢Aちゃんが作ってくれて、
一緒にご飯食べれたのが嬉しくてさ。
ちょっと調子乗っちゃったな、ごめん｣

｢いや、……はい｣

｢可愛いなって思ったらしちゃってた感じ｣

｢や、あの、そういうのは、ほんと...//｣



軽いなぁー、北山さんは。

そして軽率に可愛いとかやめてくれっ！



モジモジする私を頬杖つきながら、
ふふって笑って見てくる北山さんは客観的に見てもやっぱりめちゃくちゃにかっこいい。


なんと言うか、大人の余裕って感じで。



なのに頼んだお料理たちが運ばれてくると、
頬をいっぱいに膨らめて少年のようにもぐもぐしだすから、きっとこのギャップに世の女のコ達は落ちていくんだなーと思った。

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