微熱

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同じ階にある職員室のドアを開けようとしたら
丁度勢いよく開いてびっくりする。


｢わ、｣

｢おぉ、A先生、すんません｣

｢いえ、
北山先生に用事があったからちょうど良かった。二階堂くん、また来てます｣

｢マジすか、アイツ……ったく。
一限終わったら様子見に行きます｣

｢分かりました｣

｢いつもすいませんね｣

｢いえ、大丈夫ですよ｣



にこって笑うと、にこって返してくれて
じゃ、って早歩きで授業に向かった。



北山先生は4月に赴任してきた、
二階堂くんの担任の先生。

担当教科は体育で、
明るくてユーモアがあるから生徒達にも先生方にも既にだいぶ人気がある。


ベビーフェイスで
若そうに見えるけど私より歳上らしい。







保健室に戻ると、
閉めたはずのカーテンは開いてて
二階堂くんはベットでスマホをいじってた。




｢ねぇ、没収するよ？｣

｢そう言って、いつもしないじゃん｣

｢一限終わったら北山先生来るって｣

｢はぁー。めんどくさいんだよ、あいつ｣

｢北山先生、良い人だと思うけど｣

｢そーやって周りに思われてる所がむかつく｣



いじってたスマホの画面を暗くして、
頭の後ろで手を組んで目を瞑る二階堂くん。


年頃の子って、本当に難しい。



｢…A先生は、楽でいいな｣

｢どういう意味？｣

｢いちいちうるさくないし、俺がこうやってサボっててもなんも言わないじゃん｣

｢まぁ、私、養護教諭だからね｣

｢…よーご？｣

｢保健室の先生って意味｣

｢あー、それか｣



分かんなかったくせに。

元々知ってました、みたいな顔して。


反抗期の男の子のだけど
二階堂くんってこうやってちゃんと可愛い所あるんだよね。



｢とりあえず
寝ててもいいからスマホはしまってね。
私仕事してるから｣




机の上のノートパソコンをスリープ状態からおこして、お便りの作成にとりかかった。

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