恋愛のススメ〜千賀の場合〜

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＿


もう、本当に。

どこまでも不細工すぎ！


さっき、勇気出して手繋げたのに。






お茶を零して濡れちゃった僕を
笑いながら拭いてくれるAちゃん。



Aちゃん、優しすぎない？



さっきからダメダメな僕なのに、
こうやってずっと笑っててくれてさ。




｢口元は自分で拭いて？｣


って、
首傾げてハンカチを差し出すAちゃん。


拭いてくれたハンカチからは
洗剤なのか柔軟剤なのか、
…それとも距離が近いからAちゃんの匂いなのかな。


とってもいい匂いがしてる。




気が付いたら、ハンカチと一緒に
Aちゃんの手も掴んじゃってて。




｢…千ちゃん？｣

｢………｣




そのまま俺の方に引き寄せようとした所に、
丁度温めてた電子レンジが終わってピーッて音が。




｢あ、終わったみたい。持ってくるね｣



スルって俺の手を抜けて、
キッチンに行っちゃったAちゃん。




……タイミング！！！





戻ってきたAちゃんは、
いただきまーす、ってパスタを食べだした。



もう、可愛いから許す。





握りしめてたハンカチ、
よく見たらお茶の色に染みちゃってる。



｢わ、ごめん！洗って返すね、これ｣

｢全然いいのに。持って帰るよ｣

｢だーめ。今度ご飯行く時に渡すから。
今日ね、
Aちゃんを連れて行きたい所あったの｣

｢そうなの？じゃあ…その時にお願いします｣

｢はーい。了解｣




口約束だけじゃ、
ただの社交辞令みたいになっちゃうじゃん？


だから、
このハンカチには人質になってもらお。


あ、ハンカチは人じゃないから布質？




まぁいいや。



今日のリベンジは絶対するんだから。




その時は、ちゃんとかっこいい僕を
Aちゃんに見てもらいたいな。

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