恋愛のススメ〜千賀の場合〜

88 ページ38

＿



12月になった。



健永とは、毎日一緒にいて
休みを合わせていろんな所に出掛けて。




迫るタイムリミットの中で、
たくさん思い出を作ろうとしてくれてるんだなって切なくも嬉しくなる。








｢マーケットはどこですか｣


｢...ドゥーユー、マーケット、GOプリーズ！｣


｢ぶー、違う(笑)｣


｢えー、なんだっけ。勉強したのにな、それ｣






平日の夜も、お互いの家を行き来して。


今日は健永のお家にお泊まり。






｢じゃあ次ね。
病院まで行きたいのですが、どの電車に乗ればいいですか？｣



｢アイキャンGO、、ドクターハウス、ディストレイン、、ワッツ？｣


｢もう、全然違うー(笑)
病院はホスピタルでしょ。わざとやってる？｣


｢えっ、めちゃくちゃ本気なんだけど｣





私の膝の上に寝転ぶ健永に、
英語の文法の本から出題中。


ふざけて答えてるかと思ったら、
本人はめちゃくちゃ真面目に考えてたみたい。



本当にこれで
あっちで生活していけるのかな？(笑)






｢ちゃんと勉強しないとね｣


｢んー、じゃあ、今から英語で会話しよっ｣


｢いいよ？｣


｢ふふふふ。じゃあ僕からね？｣






膝枕から起き上がると、
私をぎゅっと抱きしめながら


｢アイラブユ〜〜。andアイウォンチュ〜〜。｣


って言ってくる健永(笑)。








｢....I love You more｣



ぼそって言い返せば、


｢モア？？？｣


って、はてな顔の健永は
近くにあったスマホで意味を調べてるみたい。









｢........Aちゃんっ！！！｣




意味が分かったのか、
ガバッと勢いよく抱きつかれてソファに埋まる身体。







｢大好き。愛してる。｣


｢あれ？英語は？｣


｢もうやめた。ちゃんと伝えたいから｣






そう言って、
どちからからともなくキスが始まって。






｢愛してるよ、A｣






私の両頬を包み込んでしてくれる、
王子様みたいな甘ーいキス。





キスする時に当たる、
健永の長い睫毛がくすぐったいな。





この感覚も、甘い時間も、愛の言葉も。

健永の匂いも、体温も、優しさも。



来月にはサヨナラしなきゃいけないなんて。




寂しすぎてどうかなりそう。





毎日って身体を重ねてるのに、
どこか満たされないのも別れの日が近付いてるからなのかな。




健永が頑張るんだから私は背中を押すよ。



会えない時には沢山作ってくれた楽しくて幸せな日々を思い出すから。




今は全身で健永を感じさせて欲しい。

89→←87

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す