恋愛のススメ〜北山の場合〜

90 ページ40

ー

｢分かった。変なこと言ってごめんなさい｣

｢おし、分かればよろしい｣


頭をぽんぽんてする北山さん。


｢荷物持ってきます｣

｢おう。タクシー呼んどく｣

｢はーい｣





:
:





Aと彼氏彼女の関係になって2週間。


仕事が終わればどっちかの家にいるって生活。


まぁほとんどAんちに、
俺がおしかけてる状態なんだけど。


だって仕事終わる時間が違うから
そうでもしねぇと会えねーじゃん？



休みの日が一緒だから、
前日は俺んちに泊まるってパターン。


Aがお泊まりセットを取りに行ってる間、
下で待つ。






ふと1人になった時に考える。



…あいつ、結婚願望とか無いのか？


告白した時もそうだけど、
何度か結婚てワードを出した時のリアクションがな。


本気だって言ってんのに
未だに信じてない感じなんだけど。


彼氏なのにどんだけ信頼ないのよ…。



むしろ、
Aって俺の事そんなに好きじゃないのか？


付き合うってなった時も
だいぶ俺が押しまくってOK貰ったんだし。




なんだ、この不安感。


女子みてーじゃん。






コツ、コツ、と階段を降りてくる足音が聞こえてAが戻ってきた。


大きめのトートバッグを抱えて、
もう片方の手には保冷バッグ？



｢お待たせしました〜｣

｢なにそれ｣

｢…作りすぎちゃって。
明日とか、食べれたらなぁって｣



覗くとタッパーが何個か入ってて
きっと中にはAの手作りの惣菜。



｢さんきゅ。嬉しい｣

｢…どーも｣



照れて小さく笑うAが可愛くて、
人通りの少ない店の裏だったから不意打ちでキスした。



｢……きたやまさんっ///｣

｢誰も来ねぇよ｣

｢…そんなの分かんないじゃないですか｣

｢大体見られたって別によくね？｣

｢嫌です！｣




…そんなに否定する？




｢Aって俺の事どう思ってんの？｣

｢どう、って…｣

｢なんか俺ばっか好きみてぇじゃん｣

｢私だって、…ちゃんと好きです｣

｢だったらもっと優しくしてよ｣



腰を抱いてAを引き寄せる。


｢だから、ダメって、｣

｢好き？｣

｢……好き、です｣


おでことおでこがぶつかるくらい顔を近付けてみれば、Aは恥ずかしそうに目を逸らす。


普段シャキッとしてるAが俺だけに見せるこの表情がたまんない。





｢ちゅーして｣



もっと困らせたくて
ん、って唇を軽く突き出してAにおねだりしてみる。

91→←89

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す