恋愛のススメ〜北山の場合〜

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今週も日曜の仕事を終えて、
月曜の明日は休みだ。


ケータイをチェックすると、
着信が入ってた。


相手は、“北山宏光”の表示。


お疲れ様でした、って横尾さんと別れて
自分の部屋に帰ってきてからスマホをタップして折り返した。


23時半だけど、
北山さんだからまだ起きてるよね。




何コール目かで、電話に出た北山さん。


『はい』

｢こんばんは。電話くれました？｣

『おー。明日ひま？店こない？』

｢明日？月曜だけどお店やってるんですか？｣

『店は休みだけど。
カットモデルしてくんね？』

あぁ、そういう事か。

｢丁度切りたかったし、いいですよ｣

『おう。悪ぃな。
時間と場所、後で送っとく』

そう言った北山さんの後ろの方で、
ねぇ〜まだですか〜〜？って女の子の声が聞こえる。



お盛んですこと。




｢北山さん｣

『ん？』

｢よかったですね。
今日は “そういう子”見つけられて｣

『…は？』

｢おやすみなさーい｣


何か言ってたけど切っちゃった。

明日会うんだけど、まぁいっか。



ケータイをぽいって投げてお風呂に向かった。







:





時間は22時。

長く通ってくれてる読モの子がどうしてもって言うから遅い時間から始めた施術。


根元染めて、毛先と前髪のカット。

いつもの営業で慣れてる
どーでもいい会話して。


薬剤を塗布してタイマーをかけた。



んだよ。

今日店行こうと思ってたのに。


Aんちに泊めてもらったあの日から
会ってねーな。





バックヤードに下がって、
なんとなくスマホをタップした。


鳴らすけど出ない。


ま、当たり前か。


日曜だし、まだ営業時間内だし。



掛け直してくるかな。

俺、多分めっちゃ嫌われたよな。



泊めてって言ってうんって言うのは
そういう事だと思ってたら違ったみたいで。
(まぁ、俺が無理矢理押し切ったんだけど)


つーか、
ちょっと触ったけど全っ然起きねーし
なんなら寝言言いながら爆睡だったからな。


…思い出したら笑えてくる。


大抵の女はちょっと甘い空気に持ってけば
簡単に抱けるんだけど、アイツにそれは通用しなかった。


ちょっとおもしろい。


興味出てきちゃったんだよね。




ニヤける顔を元に戻して
スマホをズボンのポケットにしまってから、
店に戻った。

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