恋愛のススメ〜北山の場合〜

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｢俺さ、
やっぱ料理してるA見てんの好きだわ｣

｢…そうなの？｣

｢うん。俺んちでしてる時限定だけどな｣

｢…違いが分かんない｣

｢全然違うだろ。
俺のために作ってくれてんでしょ？｣

｢うん、｣

｢昨日も言ったじゃん。Aが俺の為だけに何かしてくれるのが嬉しいの｣


頷くと、手をそっと握られる。


｢…ねぇ、Aはさ、まだ結婚したくない？｣


優しい声で聞いてくる北山さん。


｢思ってること教えてよ。
それで嫌いになるとか絶対ないから｣


ん？って近寄って顔を覗き込んでくるから、
言うしかないって決めた。





｢………私の父、めちゃくちゃ厳しいんですよ｣





:
:






｢は？｣

｢いや、だから、超堅物なんです。｣


なんかもっとこう
自分の時間大切にしたいとか、仕事が大事とか言われるかと思って拍子抜けした。



｢そんだけ？｣

｢はい…会ってみたら分かると思うけど
めちゃくちゃ面倒臭いし｣

｢Aの気持ちは？｣


肝心なとこ、教えて貰ってないし。


｢私は……その、いいと思いますケド｣


最後の方、
小さくブツブツ喋るから聞こえねーし(笑)


｢俺と一緒になってくれんの？｣

｢……はい｣


握ってた手、引っ張ってAを抱き寄せた。


｢良かった。Aもおんなじ気持ちで｣

｢ふふふ。だってもうみんなに宣言しちゃったじゃないですか｣

｢は？そういうこと？｣


体を離してAの顔を見る。


｢俺の事好きだから結婚したいんじゃなくて？｣

｢もう、言わなくても分かるでしょ｣

｢言ってくれないと分かんないでーす｣


下向いて照れてるAが可愛くて、
掬い上げる様に1度キスする。


｢んー、やだ｣

｢全然嫌がってないじゃん｣


だってほら、
もう1回キスしようとして顔近付けると
自分から目、閉じてるし。


寸止めしてやると、気付いたAは
ゆっくり目を開けて顔を紅くしてふふふって笑う。



｢したいの？｣

うん、って頷くA。


おぉ、素直じゃん。


でも、今日はもちょっといじめたい。




｢何したいの？｣

｢……キス、｣

｢どーいうのがいい？｣

｢…普通のやつ｣


Aが言うから
ちゅって普通のキスしてあげる。


｢これでいい？｣

｢………うん、｣

｢何？不満？｣

｢……もうちょっと長いやつがいい｣


Aのお願い通りに、
さっきより少し長めに唇を押し当てる。

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