REAL ME

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北山さんのベットで、
北山さんの腕の中で目を目を覚ました。


昨夜は、お互いの欲にまかせて
何度も求め合って。


そのまま寝ちゃったから
まだ少し汗ばんでる2人の肌。


北山さんの腕を抜け出して、
ベットの下に散らばってる下着と洋服を拾い集めてシャワーを借りた。


タオルで身体を拭いていると
脱衣所のドアが開いてそこには下着だけ履いた北山さんがいて。


｢…お、おはようございます｣

｢あ、わり。
シャワー出たら送ってくから待ってて｣


寝起きの掠れ声で、大きな欠伸をしながら
下着を脱ぐと私と入れ替わりで浴室へ。



洋服を着終わって、
鏡の前でドライヤーを借りてるともうシャワーを終えた北山さんが出てきた。


バスタオルでガシガシ拭きながらパンイチで脱衣所を出ていって、お水片手に戻ってきたと思ったら

｢俺のもやって｣

ってボサボサの頭を突き出してくる。


ドライヤーの風を当てて、
ふわふわの北山さんの髪の毛を手ぐしで整えながら乾かしていく。

同じシャンプーの匂い。


背丈あんまり変わらないけど、
少し腕を伸ばして北山さんの髪の毛を乾かしていると不意打ちにちゅっとキスされた。




｢……だめ｣

｢いいじゃん、キスぐらい｣


そう言うともう1回、
今度はゆっくり唇が重なる、


カチ、ってドライヤーのスイッチを消すと
北山さんに取られて棚に置かれる。







北山さんと最後に交わしたキスは、
とびきり甘くて優しいものだった。









:






1度家に帰って、支度を整えてから会社へ。



さっきまで一緒にいた北山さんと
社内で会うのは少し緊張する。




いつも通りに仕事を終えて
いつも通りにみんなと会話して。




最後に部長から、
北山さんが今日で最後って挨拶があって。

北山さんからもみんなへ挨拶してる。




会釈した後、1度だけ目が合った気がする。


少しだけ笑ってくれたから。









エントランスを抜けて、
駐車場へ歩いていく北山さんを追い掛けてた。





｢きたやまさんっ、｣

｢どした。んな高い靴で走ると転ぶぞ｣


ふふって笑いながら振り返る北山さん。


｢あの…ごめんなさい。色々、酷いことして｣

｢そ？俺は楽しかったよ、Aと居れて｣

｢私、ずるいんです。
北山さんの優しさを利用して、｣

｢分かってるから、全部。
……だから言わなくていい｣







｢幸せになれよ｣


ぽん、と頭に手を置いてから
歩いていく北山さんは1度も振り返らなかった。

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