REAL ME

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｢いただきまーす。……ん、熱っ｣

｢フーフーいりますか？｣

｢大丈夫だって(笑)｣



なんだか、
本当に久しぶりにゆっくりしてる時間。


こうやって喋りながら
太輔と向かい合って食べる夕飯なんて
いつぶりだろう。



｢味どう？｣

｢すっごく美味しい｣

｢ほんと？よかった〜｣




食べ終わるとお皿を片付けてくれた太輔は
洗い物が終わると私が座ってるソファの隣に座ってきた。





｢熱測ってみようか｣


体温計を渡してくれるから、
受け取って脇に挟む。






｢まだだるい？｣


顔にかかった髪の毛を整えてくれた後、
スルスルと毛先をいじってくる太輔。




｢もう大丈夫だよ。ほら、熱もないし｣


取り出した体温計は、平熱を表示してる。


｢ほんとだ、よかった｣





そのまま引き寄せられて、
おでこにキスされた後は太輔の腕の中。



控え目に付けられた
いつもの太輔の香水がふわっと香る。





｢A、俺来月から部署移動するんだ｣

｢そうなの？…転勤、とか？｣

｢いや、それは無い。
逆に今までみたいな残業はなくなるって｣

｢………ほんと？｣

｢うん。あっても月1くらいになるみたい｣

｢じゃあ、｣

｢今まで寂しい思いさせてごめんな。
これからは家にいる時間増えるから｣



私を見下ろして、優しく笑ったあと
背中をとんとんしてくれる太輔。




夢にまで見た、
太輔とのやっと恋人らしい同棲生活。



これから、できるんだよね。



1人でもう泣かなくてもいいんだよね？




ただいまって帰ってくる太輔と
一緒にご飯食べて笑いあって温かいベットで眠れるんだよね？





……すごく嬉しい。




太輔の背中に手を伸ばせば、
さっきよりもきつく抱きしめてくれて。





毎日ただ早く過ぎればいいと思ってた時間が、
いきなり愛おしく感じる。









と、同時に。




北山さんとも、
これできちんと終わりにする事ができるよね。



だって、
来月から北山さんは元の支社に戻っていくし。




ほんの１ヶ月だけだったけど、
北山さんのくれた愛はとても大きいよ。




もう私はひとりじゃないから、
大丈夫だから。




きちんと伝えなきゃ。

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