REAL ME

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太輔に、
“熱下がったよ”ってLINEをいれて。


…北山さんにも。



なかなか既読が付かない太輔とは違い、
すぐに既読がついた北山さんからは着信。





『元気？』

｢うん、やっと起きられる様になった｣

『今近くいんだわ。…寄ってい？』

｢…うん｣






10分くらいしてインターフォンが鳴った。

解除するとすぐ、部屋のチャイムも鳴って。







｢よ｣


いつも通りの北山さん。



｢ん、やる｣


昨日とは違うヨーグルトを、ほいって。



｢ありがとう。…あがる？｣

｢んや、仕事中だから。
顔色良くなってんじゃん｣

｢熱下がったし、ご飯も食べられた｣

｢なんか食うもんある？｣

｢うん。…、、作ってくれてったから｣

｢へぇ。…今日も遅くなんの？｣

｢わかんない。
半休とってくれたから、その分遅いかも｣

｢そか。…よかった。
また放っとかれて泣いてんのかと思ったから｣


ちょん、て少し私の頬に触れる北山さん。


もっと触れてよ、って
私の中の黒い部分が本音を吐き出す。




｢……くる？｣


見透かす様に小さく両手を広げてくれるから。

北山さんの胸元にぽすって収まった。



ぎゅって包まれる安心感。



目を閉じれば
北山さんの匂いと呼吸音だけの世界になって。



幸せだな、って思った。







｢治ったらさー、おでん食べいこ。
美味いとこ見つけた｣

｢うん、いいよ｣

｢小さい店なんだけどさ、
おばちゃんがいいキャラしてんだわ｣

｢ふふふ。楽しみ｣



抱き合ったままそんな会話をして。





｢A、そろそろ行くわ｣

｢ん。わかった｣



背中に回してた手を緩めると、
北山さんは少し屈んで私にキスした。





｢…早く治して会社来て？｣

そしたら毎日会えるじゃん、て。




恥ずかしくなったのか、
フッて鼻で笑った後にもう1回キスして。






唇が離れる時に、ポケットにいれてるスマホから着信音が流れた。






きっと、太輔だ。





｢……出ないの？｣

｢……今はいい｣





多分、
北山さんは相手が誰だか分かったのかな。



私が返事をすると
またキスが始まって、そのキスは少し乱暴だった。





着信音が鳴り終わると、
少し荒くなった私の息遣いが玄関の狭い空間に響いた。








｢………連れて帰っちゃだめ？｣

｢………きたやまさん、｣




答えに困っていると
急に頭をくしゃくしゃってされて




｢ごめん、冗談｣




って言って北山さんは帰って行った。

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