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家の机で仕事の続きをしてると、
ミツが書いたメモ紙が出てきた。




…このまま捨ててしまおう。


ミツと会って不安定な今の私は、
こんな小さな紙切れにさえ動揺させられる。

幼馴染みとして会えるようになるまで、
もうミツとは会わない方がいい。


1ヶ月過ぎればミツは帰るんだよね?
そしたらまた会えなくなるんだから。


考えないようにしてるのに、
すぐに意識してしまう自分が嫌になる。


大きく深呼吸して、
気持ちをリセットさせてから残りの仕事を片付けた。








「この前北山に会った」

数日後、太輔から連絡が来て
夜ご飯を一緒に食べている時にその話題。

「正確には、見かけたんだけど」

「…私もバッタリ会ったよ」

隠すことないよね。
本当に偶然会っただけだし。

「来月から教育実習だから、
1ヶ月こっちにいるんだって」

「話したの?」

「少しだけね。
ほら、この前遠足の下見に行った時に、たまたま」

「へぇ…そうだったんだ」

ちょっと太輔の表情が引き攣る気がした。


それからあんまり話さなくなった太輔。

ご飯を食べ終えた帰り道も口数は少なくて。

それでも今日もちゃんと家まで送ってくれる。
私の家が見えてきた頃、

「…少し話していい?」

って聞いてくるから、
高校の時よく寄ったコンビニの向かいの公園へ寄り道。


「正直に言うけど、あんまり俺の知らない所で北山に会ってほしくない…かな」

「今回は本当に偶然だったんだよ?」

「分かってるよ。それでもなんか嫌だ」


当たり前だよ。

私が逆の立場だったら、たとえ幼馴染みでも2人で会われてそれを知らなかったら尚更嫌だもん。

「ごめんね、太輔」

私の中途半端な行動が、太輔を傷つけた。

「ごめん。俺こそ、器ちっちゃいよな」

ううん、って首を横に振ったら
太輔の腕の中に収められる。


「好きなんだ、Aのこと。すごく」

そういう太輔の声色は苦しそうで切ない。


「私もだよ。太輔だけ」

フラフラする自分にまるで言い聞かせるみたい。
でもこの気持ちは本当だから。

太輔の背中に腕を回して、大好きって伝えるとやっと安心した表情を見せてくれた。

どれだけ太輔を追い込んでしまっていたんだろう。

太輔、本当にごめんね。

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mayumitsu(プロフ) - あやみつさん» 結局二人とも初恋の相手なんだろー?ヒューヒュー(//∇//)とガヤを入れたくなるほど一途すぎますね(´-`)ちゃんと太輔も幸せなんですよ〜今でも幼馴染みは3人仲良しなんですよぉ!エッモ(;∀;)大丈夫です痛い奴はここにもいますから(*`・ω・)ゞ笑 (2019年3月31日 22時) (レス) id: 90f4627b60 (このIDを非表示/違反報告)
あやみつ(プロフ) - いやーん!!更新何だろ?って思ったらまさかの続編!!嬉しすぎる(;_;)そしてやっぱりこの一途な2人が好きすぎるし、そこに大事なもう1人の幼なじみを忘れずにいる所も好きです(*´-`*)これから夕日見たら私までミツを思い出しそうな予感\(^o^)/←痛い奴www (2019年3月31日 19時) (レス) id: 4b0a4813d4 (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - みちこさん» 紆余曲折あったのでやっぱりちゃんとミツと幸せになる所を見届けてあげたいですよね(^-^)と思って書きました!藤ヶ谷くんも、ちゃんと幸せです(;∀;)何事も続けるというのは難しいことですよね。北山さんへの愛は絶えず増えるばかりですが(^o^) (2019年3月31日 17時) (レス) id: 90f4627b60 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - こんにちは(^_^)ハピエンで何よりです(о´∀`о)結婚までして(^.^)太ちゃんも幸せなんですね(^.^)ずっと一人の人を想い続けていくのは、素敵でもあり、難しいですよね(^_^;)でも、やっぱり素敵です(^ー^) (2019年3月31日 14時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - みちこさん» 私もめちゃくちゃ程遠かったですよ!(笑)なので願望を盛り込んで書きました(//∇//)こんな青春を送れたら最高ですよね♪ミツとのその後、気になりますか?書いてみようかな…もし書けたらまた読みに来てくださいね★ (2019年3月13日 16時) (レス) id: 2678759e66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mayumitsu | 作成日時:2019年1月19日 8時

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