flamingo＿2

再会＿1 ページ18

＿


運動会で再会したあの日。






“夕陽、一緒に見よ”




ミツにそう言われて日が落ちる頃
いつもの海辺へ来た。



時間も場所も、約束してないけど
ゆっくり階段を降りて砂浜に立つと、
石場に座ってる後ろ姿が見えて。



それだけで私の胸は高鳴る。





少し緊張しながら砂を踏みしめて近付くと、
足音で気付いたミツが振り向いた。




｢おつ｣


｢お疲れさま｣




言い合うと、座っていた石場の隅に座り直して場所を開けてくれたからそこへ私も座った。



ザザン……て寄せる波の音が私たちを包む。






｢A先生大人気じゃん。
あの後ずっとAのこと聞かされたわ｣

｢そうなの？ふふふ、可愛いねみんな｣

｢うん、まじで可愛い｣




笑いあって、喋って。


久しぶりに聞くミツの声、笑った顔、
何気ない仕草、優しく見つめ返してくれる目。




その全てが3年前と、
いや、小さい頃と何ひとつ変わってなくて安心する。







｢最後にここで会った時のこと、覚えてる？｣

｢うん、覚えてるよ｣



あの時私たちは、
想い合っていたけどそれぞれ別の道へ進んだ。




｢なんか、カッコつけたけど、すげー後悔した｣

｢…そうなの？｣

｢今何してんだろっていっつも考えてて。
そーなると無性に会いたくなって｣

｢…うん、｣

｢夕陽見る度思い出してた、Aのこと｣




場所は違うけど
私たちは同じ夕陽を見てたんだね、ずっと。




｢実習とか、試験勉強とかさ。
バイト掛け持ちしながらで正直結構キツかったんだけど、Aも立派に先生してんだなって思うと負けてらんねーなって思って｣


少し笑って、下を向くミツ。



｢結局、俺ん中にはずーっとAがいた｣


顔を上げて、私を見つめるミツの目は
切なさと苦しさが混ざりあう。


ミツの思いを聞いて、
胸がいっぱいになって涙が滲んでくる。



｢私もね、この3年間
辛いことも苦しいこともたくさんあった。
そんな時はここに来て夕陽見て…大泣きして。
気持ちリセットして頑張ろうって思えた｣


大泣きってところに、
ちょっとふふって笑うミツ。


｢ここに来れば、
ミツとの思い出がたくさんあったから。
…好きだって言ってくれたことも。
私、全部覚えてるよ。
ミツといるといつもすごく楽しかったから｣



優しく笑うミツは、頷く。

＿＿＿2→←作者より★

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す