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8 私は私じゃない ページ8
とにかく
今の自分の状況を整理しなくちゃ
仕事が立て込んでいると、あの後すぐに帰っていった櫻井さんの背中を見送って
考える。
名前とか年齢は間違いない
でも
家族、周りの人、生い立ちが違う
どこがどう違うか
以前の記憶があいまいだから
はっきりわからないけど
違う。
そして何より
櫻井さんと二宮さんのこと
私の認識では有名アイドルグループの
『芸能人』。
でも
この現状では『恋人』と、『幼なじみ』。
私の意識が違う？
いやいやこの世界が違う？
どうにも理解できないことに
「わーっ！」と叫びたくなる。
……そうだ。
スマホ。
何かわかるかもしれない。
バッグの中からスマホを取り出して
電源を入れる
画面は割れてるけど
そうさは出来そう
……でも
ロックがかかっていた。
自分の誕生日とか
自分が使っていたような思い当たる番号を片っぱしから入れても
解除できない。
自分のスマホなのに自分のじゃない
そう
私は私じゃないんだ。
急に涙が溢れてくる。
私は何者なの？
どこへ行けばいいの？
まるで急に巣をなくした小鳥のように
ぶるぶるとふるえている。
これからどうして行けばいいのだろう？
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2017年8月29日 16時
